<新興国eye>前週のブラジル株、FOMC議事録やネト中銀総裁講演を受け反落=BRICs市況

新興国

2024/5/27 8:57

 前週(20-24日)のブラジル株式市場は24日のボベスパ指数が前日比0.34%安の12万4305.57、週間ベースでは17日終値比3%安と、反落した。

 週明け20日は指数が下落、23日まで5営業日続落した。

 週前半は、中銀の経済週報で、24年インフレ見通しが前週予想の3.76%上昇から3.80%上昇に、また、24年末時点の政策金利見通しも前週予想の9.75%から10.00%に引き上げられたことを受け、インフレ悪化により制限的な金融政策が長期化するとの懸念から売りが優勢となった。個別銘柄では再保険大手IRBブラジルがリオグランデ・ド・スル州の洪水による損失拡大観測で売られ、下げを主導。

 その後は、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録の公表待ちとなり、積極的な買いが差し控えられる中、売りが強まった。市場では国営石油大手ペトロブラスのマグダ・シャンブリアール新総裁の手腕に注目が集まった。同総裁はすでに20人超の特別顧問や経営幹部の人事刷新を断行した。また、製紙大手スザノ・パペル・エ・セルロースが米紙・パ大手インターナショナル・ペーパーからの150億ドルの買収提案に難色を示したことが嫌気され、急落、下げをけん引。

 週後半は、FOMC議事録が公表され、市場では米金融政策の不確実性が明確となり、早期利下げ観測が後退したため、売りが優勢となった。また、新総裁の下で経営刷新中のペトロブラスを除き、他の石油会社は原油安で売られたほか、食肉生産・販売大手ミネルバがウルグアイ同業大手マルフリッグから3工場を買収する計画がウルグアイの独禁法当局により阻止されたことを受け、急落、下げをけん引した。

 その後は、引き続き、米早期利下げ観測の後退が嫌気され、売りが強まった。また、鉱山大手ヴァーレが鉄鉱石相場の下落により、指数構成ウエートが高いペトロブラスも原油安により下落、下げをけん引。

 週末24日は6営業日続落。ブラジル中銀のロベルト・カンポス・ネト総裁が講演で、リオグランデ・ド・スル州の洪水などによる食品価格上昇でインフレが再燃する可能性があると警告、金利上昇懸念が強まり、売りが優勢となった。

 今週(27-31日)の株式市場は、中東紛争やウクライナ情勢、西側の対ロ制裁などの地政学的リスク、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策も注目される。主な経済指標の発表予定は28日の4月雇用者数と4月PPI(生産者物価指数)、5月中旬時点IPCA(拡大消費者物価指数)、29日の5月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGP-MIインフレ指数と4月財政収支など。30日は「聖体祭」の祝日のため、休場となる。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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