<新興国eye>ハンガリー中銀、予想通り0.25ポイント利下げ―利下げサイクル終了に接近

新興国

2024/6/19 8:55

 ハンガリー中央銀行は18日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を0.25ポイント引き下げ、7.00%とすることを決めた。市場の予想通りだった。

 また、中銀は他の主要政策金利についてもベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を6.00%、また、上限を示す翌日物有担保貸出金利も8.00%と、それぞれ同率引き下げた。

 中銀はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)でインフレが加速したため、22年9月会合まで17会合連続で利上げを実施したが、利上げ幅が計12.40ポイントに達し、金利水準も22年9カ月ぶりの高水準となったため、22年10月会合から据え置きに転換、23年9月会合まで12会合連続で据え置いた。しかし、最近のインフレの鎮静化を受け、同10月会合で、コロナ禍の20年7月以来、3年3カ月ぶりに利下げに転換、今回で9会合連続となった。

 中銀は今後の金融政策について、前回5月会合時と同様、「今後を展望すると、国内外のディスインフレ(物価上昇率の鈍化)の見通しに対するリスクや、金融市場での投資家心理の不安定性により、金融政策には慎重かつ辛抱強いアプローチが必要になる」とした上で、「政策金利のさらなる引き下げについては慎重かつデータに基づいた方法で決める」とし、今後の金融政策はデータ次第で、予断を持たずオープンとする方針を示した。

 市場では過度な追加利下げが通貨フォリント安を進行させるため、また、過去1カ月間でフォリントが対ユーロで2%超下落したことから、中銀は今回の会合で利下げペースを減速、23年10月から始まった利下げサイクルは終了に近づいたと見ている。金融先物市場では次回7月会合で小幅利下げの余地があると予想している。

 中銀は声明文でインフレ見通しについて、「短期的な見通しは改善している。インフレ率は物価目標の許容範囲内(2-4%上昇)で変動し、今後数カ月も上限に近づく」と予想している。ただ、コアインフレ率の見通しについては、中銀は、「コア指数の低下は4-6月期に止まり、今年末まで前年比5%上昇近くまで上昇する」と見ている。ちなみに、5月のインフレ率は前年比4.0%上昇と、4月の同3.7%上昇から加速した。

 また、中銀は18日、最新の四半期インフレ報告書を公表、中期的には24年は3.0-4.5%上昇、25年と26年は2.5-3.5%上昇になると予想。いずれも前回予想を据え置いた。

 次回の金融政策決定会合は7月23日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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