【為替本日の注目点】ドル円、再び158円台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は昨日の夕方158円台に乗せ、158円22銭近辺まで買われたが、そこを頂点に小幅に下落。米長期金利が低下しドルの上値を抑えた。ユーロドルは引き続き1.07台で推移。株式市場では小幅ながら3指数が揃って上昇。ナスダックとS&P500はこの日も最高値を更新。エヌビディア株が続伸し、時価総額で世界トップに。債券は反発。長期金利は4.22%台に低下。金は反発。原油は続伸し81ドル台に乗せる。
5月小売売上高 → 0.1%
5月鉱工業生産 → 0.9%
5月設備稼働率 → 78.7%
マーケット情報
ドル/円 157.64 ~ 158.12
ユーロ/ドル 1.0711 ~ 1.0761
ユーロ/円 168.98 ~ 169.91
NYダウ +56.76 → 38,834.66ドル
GOLD +17.90 → 2,346.90ドル
WTI +1.24 → 81.57ドル
米10年国債 -0.058 → 4.223%
本日の注目イベント
日 5月貿易統計
日 日銀金融政策決定会合議事録(2024年4月25日―26日分)
欧 ユーロ圏4月経常収支
英 英5月消費者物価指数
米 6月NAHB住宅市場指数
米 NY市場休場(奴隷解放記念日「ジューンティーンス」の祝日で)
ドル円は昨日、欧州市場が参入する時間帯に158円台に乗せ、158円22銭近辺まで買われました。先週末の日銀決定会合後に急騰した水準とほぼ一緒でしたが、その後は上値は試せず、NY市場では米長期金利が低下したことでジリ安の展開になっています。ただそれでもドルの底堅い動きは続いています。
植田日銀総裁は18日参院財政金融委員会の答弁で、7月会合までに入手できる経済・物価・金融情勢に関するデータや情報次第としながらも、「場合によっては政策金利が引き上げられるということも十分あり得るというふうに考えている」と答えていました。また、現在月間6兆円程度の長期国債の買い入れについては、先週の決定会合で減額方針は決めたものの、具体的な額については7月会合で決めると述べていました。これについては「7月会合で今後1、2年程度の具体的計画を公表する」と述べていました。さらに今回の会合で政策金利を据え置いたことに関しては、「基調的な物価上昇率がしっかりと高まっていくかどうか、もう少し引き続き点検していく必要があると考えた」と答えていました。ブルームバーグがOIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)モデルを使った7月会合での利上げ確率は36.6%になっています。利上げの可能性はあるものの、まだ市場のコンセンサスとはなっていないことが分かります。
昨日も多くのFOMCメンバーの発言がありました。個別の発言の詳細を記述するのは控えますが、概ね利下げを実施する前にインフレ鎮静化を示すさらなる証拠が必要だとする意見でした。クーグラーFRB理事は、「経済状況が自身の予想通り展開すれば、年内のある時点での利下げが適切になる可能性が高い」と述べ、セントルイス連銀のムサレム総裁は、就任後初の金融政策に関する講演となりましたが、「利下げを裏付けるデータを見極めるには『数カ月ではなく、数四半期』かかる可能性の方が高い」と発言。NY連銀のウィリアムズ総裁とリッチモンド連銀のバーキン総裁は「政策の方向性を判断する上で経済データが果たす役割が重要だ」と述べていました。いずれも利下げの時期については言及せず、さらなるデータが必要との意見でした。因みに、FRBが9月の会合で利下げに踏み切るとの予想が市場のコンセンサスになりつつありますが、上記モデルによる確率は現時点で64.5%になっています。
米欧国債への投資で巨額の含み損を抱えている農林中金は、保有する国債およそ10兆円相当を2025年3月末までに売却し、外債投資での損失を確定させる方針だと発表しました。この損失処理により、25年3月期の最終赤字は1兆5000億円程度になる見込みのようです。インフレを鎮静化する目的でFRBが2022年3月から政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利を、ゼロから5.5%まで急激に引き上げたことで債券価格が急落。価格が急落したことで国債利回りが急騰し、含み損が拡大したようです。そこまで急激に利上げが実施されるとは予測していなかったことが要因ですが、それにしてもリスク管理が極めて甘いと言わざるを得ません。今後FOMCで利下げが開始されれば多少価格は反転すると思われますが、そこは不透明であることから損失処理を決めた模様です。10兆円相当の国債の売りは、少なくとも米金利の上昇要因になりますが、市場規模の極めて大きい米国債市場では大きな影響は出ないと見られます。
本日のドル円は157円~158円50銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
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