7月FOMC議事録、利下げ支持多数―2委員は0.50ポイント利下げを主張

FOMC

2019/8/22 10:09

<チェックポイント>

●大半の委員が「7月利下げは“ミッドサイクル”での微調整」との見解

●将来の金融政策の方向性を明示せず

●パウエルFRB議長のジャクソンホール講演で金融政策の方向性示すかに注目

 FRB(米連邦準備制度理事会)は21日、7月30-31日開催分FOMC(公開市場委員会)議事録を公表した。10人の委員のうち、8人が利下げを支持したことから賛成多数で政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を0.25ポイント引き下げ、2.00%-2.25%とすることを決めたが、2人の政策委員は0.50ポイントの大幅利下げを主張していたことが分かった。

 この点について、議事録は、「(0.50ポイントの引き下げを主張した)2委員はここ数年間、物価目標を下回り続けているインフレに対処するためには、より強い行動が望ましいと主張した」としている。また、少数の委員からは10年国債と3カ月物国債の逆イールド(長短金利の逆転現象)が約2カ月間続いたことについて言及があり、「市場が将来、米経済が弱い状態となることを見越しているもので、直ちにFF金利を大幅に引き下げる必要があることを示唆しているとの指摘があった」とした。

 一方、議事録では、ジョージ・カンザスシティー連銀総裁とローゼングレン・ボストン連銀総裁の2委員が、「米経済は回復し始めた」として、現状維持を主張し、利下げに反対したとしている。

 パウエルFRB議長が7月FOMC後の会見で、「(今回の)利下げは調整であり、利下げサイクルの始まりではない」と断言したように、議事録でも、「大半の委員が今回の利下げは、“ミッドサイクル(景気拡大局面の真ん中)での微調整”として支持した」とし、さらには、「多くの委員は、今回の0.25ポイントの利下げは最近の数カ月間の景気見通しの変化の推移に対応した、政策スタンスの取り消し(recalibration)、つまり、ミッドサイクルでの微調整と判断した」とし、利下げサイクルの始まりではなことを明確にしている。

 今後の金融政策については、「経済指標や景気の見通しに対する経済指標の意味合いに基づいて決める」として方向性を示さず、会合ごとに経済指標を注視し金融政策を決める柔軟なアプローチを選択する方針とした。

 また、「経済の見通しに対する経済指標の意味合いに応じて、金融政策のスタンスを目先、微調整することは、将来のFF金利を設定する上で、状況に応じて政策を決めるという選択性(optionality)を維持することが重要ということで意見が一致した」とも述べている。

 議事録で将来のFRBの金融政策の方向性が明らかにされなかったため、市場では、パウエル議長が8月23日に世界主要国の中銀総裁ら金融当局や大手金融機関のトップが参加してワイオミング州ジャクソンホールで開くカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムで、どんな金融政策の方向性を示すかに注目している。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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