RBA、政策金利を5会合連続で据え置き―量的金融緩和も現状維持

経済

2020/8/4 15:43

<チェックポイント>

●3年国債、買い入れ再開へ―「国債買い入れ増額の用意ある」との文言維持

●景気回復まだら模様に―感染再拡大でビクトリア州経済打撃が影響

●豪州経済成長率見通しは20年マイナス6%、21年はプラス5%

 豪準備銀行(RBA、中銀)は4日の理事会で、新型コロナの感染が再拡大する中、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)の誘導目標を過去最低の0.25%に据え置くことを決めた。据え置きは前回7月会合に続いて5会合連続。市場予想通りだった。

 3月19日の緊急会合で導入したRBA初の量的金融緩和(QE)措置も据え置いた。RBAは投資家による資産の換金売りで豪州国債がパニック的に売られ、国債市場が機能不全に陥ったことを受け、3月20日から3年国債の利回りの達成目標を0.25%に設定し、その上で、流通市場で国債買い入れを開始している。今回の会合でも利回り達成目標を0.25%に据え置いた。RBAは3年国債の利回りを低下させることにより、住宅ローン金利の低下や家計の負担軽減に寄与することを期待している。

 さらに、RBAは会合後に発表した声明文で、「あす(5日)、3年国債を流通市場で買い入れる」ことを予告した。RBAは3月20日以降に1度だけ約500億豪ドルの国債を買い入れたが、国債市場の改善が進んでいるとして、4月と5月に予定していた国債買い入れを中止していた。また、前回会合時と同様、「国債買い入れを増額する用意がある。国債市場が機能し、3年国債の利回り目標を達成するために必要なことはすべて行う」、「利回りの達成目標は完全雇用と物価の目標の達成が進展するまで維持する」との方針も据え置いた。

 RBAが3月会合で導入した公認預金銀行(ADI)向けの期間3年の低金利(0.25%)タームローン(証書貸付)制度についても、今回声明文で、「これまでに約290億豪ドルが融資された」とした上で、「今後数カ月、タームローンの利用が一段と高まる」との見方を示している。

 豪州経済の見通しについては、前回会合時と同様、「豪州経済は1930年代の世界恐慌以来、最大の景気後退を経験している」との厳しい認識を示したが、「景気悪化は以前に比べ緩和し、豪州の多くの地域で景気回復が進んでいる」とした。ただ、「ビクトリア州では新型コロナの感染再拡大で同州の経済が大きな打撃をうけており、この景気回復はまだら模様となり、また、乱高下が予想される」とし、慎重な見方を示した。ビクトリア州は感染拡大を抑えるため、州都メルボルン(人口約500万人)を2日から9月13日までの6週間、ロックダウン(都市封鎖)することを決めている。

 経済成長率見通しについては、標準シナリオでは20年がマイナス6%、21年はプラス5%と予想し、21年の成長率は5月予想時点のプラス6%から下方修正された。また、失業率についてはビクトリア州での失業者が増大するとし、20年末時点で約10%、その後の2年間(21年-22年)は約7%に徐々に低下していくとした。

 金融政策の見通しについては、前回会合時と同様、「完全雇用に向けた進展がみられ、インフレが持続的に2-3%の目標範囲内に収まると確信するまで政策金利を引き上げない」とし、現在の低金利を今後数年間、継続するとのフォワードガイダンスを維持した。市場では21年末まで現状維持を続けるとみている。

 次回会合は9月1日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社

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