米7月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比176.3万人増―市場予想上回る

経済

2020/8/11 9:35

<チェックポイント>

●感染再拡大で一時帰休者の職場復帰は6月から鈍化

●失業率は3カ月連続低下でも依然高水準

●次回8月統計は感染再拡大による経済抑制で悪化―市場観測

 米労働省が7日発表した7月雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比176万3000人増となり、6月の同479万1000人増からは伸びが大幅に鈍化したが、3カ月連続の大幅増となり、市場予想の148万-168万人増を上回った。新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)の様相が再び強まったほか、新規失業保険給付申請件数が高水準となったこと、職場復帰した一時帰休者数が減少したことなどが、雇用者数の伸びの鈍化につながった。

 一方、過去2カ月(5-6月)の非農業部門雇用者数も改定された。5月は前回発表の前月比269万9000人増から同272万5000人増に上方改定された一方で、6月は同480万人増から同479万1000人増に下方改定された。

 業種別では、建設業や製造業に加え、パンデミックの影響を最も強く受けたサービス業、なかでもレジャー・接客業(主にレストラン・バーなどの飲食業)や専門・ビジネスサービス業、小売業、教育・ヘルス(健康サービス)業が引き続き大幅増となった。これらの業種だけで計128万人増となり、民間部門の88%を占めている。

 市場が注目していた賃金(平均時給)の伸びは、市場予想の前月比0.5%減に反し同0.2%増となった。

 一方、失業率は10.2%と、6月の11.1%や5月の13.3%、4月の14.7%から3カ月連続で急低下し、市場予想の10.6%に対しても下回ったが、パンデミック前の2月の3.5%や3月の4.4%を依然大幅に上回っている。

 広義の失業率(狭義の失業者数に仕事を探すことに意欲を失った労働者数と経済的理由でパート労働しか見つからなかった労働者数を加えた実質の失業率)は季節調整後で16.5%と、6月の18.0%から低下した。

 労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)も61.4と、6月の61.5%をやや下回ったものの、5月の60.8%や4月の60.2%を上回り、改善傾向にある。

 なお、市場では下期から雇用者数が急回復するかは不透明で、今後数カ月の雇用統計は厳しい結果に逆戻りすると見ている。7月統計の調査対象期間のあと、雇用者数が多いカリフォルニア州が7月中旬から屋内でのビジネス活動を規制するなど一部の地域でロックダウン(都市封鎖)が再導入されたことや、企業の新規採用の凍結が増えてきたからだ。こうした雇用抑制要因が8月統計に最も強く及ぶ可能性が高いとして、警戒している。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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