米7月小売売上高、前月比1.2%増―3カ月連続増加も市場予想下回る

経済

2020/8/17 9:18

<チェックポイント>

●アパレル、レストラン、家電が急増

●ガソリン売上高、前月比6.2%増―価格高騰続くも6月から伸び鈍化

●コア小売売上高、前月比1.4%増―四半期GDP押し上げへ

 米商務省が14日発表した7月小売売上高(季節・営業日調整後)は速報値ベースで前月比1.2%(66億ドル)増の5360億ドルと、6月の同8.4%増(改定前は7.5%増)からさらに増加し、3カ月連続の増加となった。しかし、新型コロナの感染再拡大の悪影響を受け、伸びは大幅に鈍化し、市場予想の1.9%増を下回った。一方、季節要因を無視できる前年比は2.7%増と、6月の5.6%減(改定前は1.1%増)から改善した。

 前月比の内訳は、全13業種のうち、8業種で増加し、5業種で減少した。増加幅が最も大きかったのは、月ごとに変動が激しいガソリンスタンドを除くと、電子機器・家電の前月比22.9%増(6月は37.6%増)。これはオンラインで日常業務のコミュニケーションを行うテレワークの高まりを受け、パソコンや冷蔵庫などが売れ、3カ月連続の増加となった。次いで、どのカテゴリーにも入らない「その他小売」の同6.2%増(同21.7%増)、アパレルの同5.7%増(同98.8%増)、レストラン・バーの同5.0%増(同26.7%増)、ヘルス(薬局・美容)の同3.6%増(同6.9%増)。

 このほか、グローサリーストアを含む食品・飲料水販売は同0.2%増(同1.5%減)で、グローサリーストアは同0.4%増(同1.7%減)だった。

 減少幅が最も大きかったのは、スポーツ用品・趣味・楽曲・書籍の前月比5%減(6月は27.6%増)、次いで、ホームセンターなどの建築資材・園芸の同2.9%減(同0.8%増)、自動車・同部品の同1.2%減(同9.1%増)。自動車は前月までの販売好調の反動減とみられる。百貨店やスーパーなどの量販店を含む一般小売販売は同0.2%減(同2.1%増)となったが、百貨店のみでは同0.1%増(同17.4%増)と、プラスを維持した。家具は同横ばい(同37.4%増)だった。

 また、これまで外出制限下でも販売が好調だったオンライン小売は前月比0.7%増(6月は2.1%減)と、増加に転じ、前年比は24.7%増と、依然堅調を維持している。

 一方、ガソリンスタンドは前月比6.2%増と、6月の同14.8%増から伸びは鈍化した。この結果、月ごとに変動が激しいガソリンスタンドと自動車・同部品を除いた実質の小売売上高は同1.5%増と、6月の同7.7%増に続いて3カ月連続の増加。ガソリンスタンドだけを除いた小売売上高は同0.9%増(6月は8.0%増)と、全体の伸びを下回り、ガソリンスタンドの伸びが他の財・サービスの消費よりも大きく寄与したことを示す。自動車・同部品だけを除いた小売売上高は同1.9%増(同8.3%増)となった。

 ガソリンスタンドと自動車・同部品に加え、建築資材や飲食レストランを除いた、いわゆる“コア小売売上高”(コントロール・グループ)は前月比1.4%増となり、3カ月連続で増加した。これは7-9月期GDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費を押し上げることを意味する。コア小売売上高はGDPを構成する個人消費支出の財支出に組み込まれる重要な指標。

 市場では、7月は新型コロナの感染再拡大で多くの州が外出制限など経済活動の規制を再開したことや、政府の失業保険給付の週600ドルの割り増し給付制度が7月31日で終了したため、次回8月以降の統計は失業者の増大や消費回復が寸断され、前月より悪化する可能性が高いと見ている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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