米8月住宅着工件数、前月比5.1%減の141.6万戸―市場予想下回る

経済

2020/9/18 10:19

<チェックポイント>

●アパートの急減が全体を押し下げ

●許可件数、4カ月ぶりに減少―アパートの急減が影響

●8月一戸建て完成件数、3カ月ぶりに減少

 米商務省が17日発表した8月住宅着工件数(季節調整値)は年率換算で前月比5.1%減の141万6000戸と7月の同17.9%増(改定前は22.6%増)の149万2000戸から4カ月ぶりに減少に転じた。新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)前の2月(156万7000戸)を6カ月連続で下回り、市場予想の148万9000-152万戸に対しても下回った。

 着工件数の内訳は、月ごとに変動が激しいアパート(5世帯以上)が前月比25.4%減の37万5000戸と、7月に同37%増と急増した反動で4カ月ぶりに減少した。その一方で、主力の一戸建ては同4.1%増の102万1000戸と堅調だった。

 過去の着工件数の改定値は7月が前回発表時の149万6000戸から149万2000戸と、4000戸の下方改定となったが、6月は122万戸から126万5000戸と、4万5000戸の上方改定となり、2カ月計で4万1000戸の大幅な上方改定となっている。

 市場では、8月着工件数の減少は一時的で、9月以降、回復傾向に戻ると楽観的に見ている。新築住宅は中古住宅より物件を下見する必要性は低く、VR(バーチャルリアルティ-)で確認できることや、テレワークへのシフトで住宅購入需要が増え続けること、さらには、中古市場の物件供給がパンデミックの影響で止まり在庫不足となっているため、新築住宅にシフトしやすいからだ。

 一方、先行指標である8月住宅建築許可件数は、一戸建てが前月比で増加したもののアパートが大幅減少となり、全体では前月比0.9%減の147万戸と4カ月ぶりに減少。市場予想の152万-155万戸に対しても下回った。

 内訳はアパート(5世帯以上)が前月比17.4%減(前月は同22%増)の38万1000戸と、減少に転じた一方で、一戸建ては同6%増の103万6000戸と、前月の同16.3%増に続いて4カ月連続で大幅に増加し、07年5月(104万2000戸)以来13年3カ月ぶりの高水準となった。また、パンデミック前の2月(99万4000戸)を4.2%上回った。通常、一戸建ての場合、建築許可を受けてから6カ月後に着工し、2世帯以上の集合住宅の場合は1年後に着工となり時間差がある。このため、一戸建ての建築許可件数の影響は今後数カ月先に現れる。

 一戸建ての完成住宅件数は前月比4.4%減の91万2000戸と、7月の同2.7%増の95万4000戸から3カ月ぶりに減少した。また、バックログ(建築許可が下りたあと、未着工となっている件数)も需要の強さを反映し、一戸建ては同4.2%増の9万9000戸と、2カ月連続で増加した。

 建築中件数は、一戸建てが前月比2%増の52万1000戸と、3カ月連続の増加となり、アパート(5世帯以上)も同1%増の67万8000戸となったことから、8月全体では同1.5%増の121万1000戸と、3カ月連続の増加となった。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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