<新興国eye>カンボジア公共投資計画、21-23年の3カ年で128億ドル
2020/10/23 13:01
カンボジアの内閣にあたる閣僚評議会は10月9日、21-23年の3カ年の公共投資計画(PIP)を承認しました。公共投資計画は、3年間のローリングプランとなっており、毎年改定されています。今回の計画では、629件の事業に対し、総額127億9600万ドル(1兆3560億円)が必要としています。前回の公共投資計画(20-22年)は、608件、144億8000万ドルだったので、金額ベースで11.6%減となっています。
内訳は、既往事業が203件、83億9700万ドル(11.5%増)、新規事業が426件、43億9900万ドル(36.7%減)となっており、前回に比べて新規事業を絞り込んでいます。セクター別配分は、インフラ整備50.1%、経済開発34.2%、社会セクター8.9%、サービス・その他6.8%としています。
新型コロナの影響で、経済の落ち込みと財政収支の悪化が懸念されており、既往事業はそのまま継続するものの、新規事業を大幅に絞り込むことで、総額にもブレーキをかけたものと見られます。
カンボジアには、日本のように財政赤字を大幅に悪化させるだけの余力や信用力はないこともあり、財政の健全性を維持しつつ、新型コロナ対策と経済回復策に取り組んでいくものと見られます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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提供:モーニングスター社
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