<新興国eye>トルコ金融当局、12月末で銀行の資産比率規制廃止―新型コロナ禍後の正常化措置

新興国

2020/11/26 11:15

 トルコの金融規制・監督当局である銀行調整監視機構(BDDK)は24日、銀行の中小企業向け融資を拡大し、景気を支援するため、4月から導入していた銀行の資産比率規制(預金額に対する貸出金と国債保有額の合計額の比率)を12月末から廃止する方針を明らかにした。

 資産比率規制の廃止は、トルコのエルドアン大統領が今月、市場重視の効率的な経済政策に転換すると発表したことを受けたもので、新型コロナ禍後の金融政策の正常化を進めるための措置だ。

 エルドアン大統領は13日、与党・公正発展党の党大会で新経済成長戦略を発表し、今後、外国人投資家のトルコへの投資機会を増やすために必要な支援措置を早期に講じる考えを示した上で、「政策決定者は投資家と密接な関係を築いていく。経済政策への信頼性を高め、トルコのリスクプレミアム(上乗せ金利)を引き下げることに重点を置く」と述べ、市場重視の効率的な経済政策に転換する考えを示している。

 これを受け、通貨トルコリラは23日の1ドル=7.888リラから発表直後には7.8335リラと、0.7%上昇した。

 もともと、資産比率規制は20年4月、新型コロナのパンデミック(感染症の世界的流行)による経済への打撃を緩和するため、銀行の企業・家計向け貸し出しや国債購入を拡大させることを狙ったもので、一般銀行とイスラム銀行はそれぞれ少なくとも100%と80%を維持するよう規制されていた。

 ただ、その後、パンデミックがピークを過ぎたことを受け、BDDKは金融政策の正常化の一環として、資産比率規制を徐々に緩和し始めており、直近でも10月からリラの下落進行を阻止し、インフレを抑制するため、一般の銀行の資産比率規制を95%から90%に、また、イスラム銀行も75%から70%に引き下げている。

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 iS新興国<1362.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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