<中原圭介の相場観>2020年は個人投資家もパフォーマンスが二極化
2020/12/28 16:52
2020年のマーケットを振り返ると、リーマン・ショック期の08-09年以来の激動の相場展開だったと思う。
今の相場の特徴は、一部の個別株に物色が集中していることだ。例えば、米国のS&P500の構成銘柄を上昇率トップ5とそのほか495に分解すると、トップ5は2倍を超えている一方で、残りは平均で5%程度しか上昇していないのだ。
これは、日経平均株価の場合も同じことが言える。上昇寄与度の高いトップ5銘柄とその他の220銘柄に分けてみると、トップ5の上昇率は際立っているが、そのほかは年初と大して変わらない水準にある。
つまり、日経平均構成銘柄ではファーストリテイリング<9983.T>などの値がさ株だけを保有していれば、もっとも成功していたということだ。しかし、値がさ株は購入単価が高いため、一般的な個人投資家にとってハードルが高い。
結果として、全体相場が上がった割には、個人投資家はそれほど利益を得ていない。日経平均は30年ぶりの高値を付けているとはいえ、東証1部の半数の個別株が年初の株価を下回っている。
逆説的だが、個人の中でも大きな利益を得た人々もいる。それは、コロナ・ショックの初期に選ぶ銘柄を間違えなかった投資家に多い。たとえば、テレワーク、Eコマース(電子商取引)、巣ごもり消費、宅配など、新常態関連株に3-4月に集中投資できた人ほどパフォーマンスが優れているだろう。
目下のところ、多くの個人投資家にとって気掛かりなのはマザーズ指数の動向だ。日経平均の大幅な値上がりとは対照的に調整色を強めた後、何とか踏ん張っているが、ここからもう一段の下げに見舞われれば、再び投げ売りが加速するだろう。まさに正念場だ。
(アセットベストパートナーズ 中原圭介)
提供:モーニングスター社
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