<新興国eye>ハンガリー中銀、政策金利を据え置き―6会合連続

新興国

2021/1/27 12:05

 ハンガリー中央銀行は26日の金融理事会で、主要政策金利である3カ月物固定預金金利(ベース金利)を過去最低の0.60%に据え置くことを決めた。他の政策金利についても、ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利をマイナス0.05%、上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利を各1.85%に据え置いた。

 中銀は新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)の景気への悪影響や金融市場の混乱を抑えるため、20年4月7日の臨時会合で、ベース金利のコリドーの上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利をいずれも0.90%から1.85%に引き上げた。これは銀行が資金を中銀に預けるよりもインターバンク市場で積極的に運用(貸し出し)することを促し、市場の流動性供給を高めることを狙った措置。その後、20年の6月と7月にベース金利だけを各0.15ポイント、2会合連続で引き下げた。据え置き決定は8月以降、これで6会合連続となる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、前回会合時と同様、「われわれの使命は、物価を安定させ、金融市場の混乱を防ぎ、政府の経済政策を支えることだ」とした上で、「現在のマネタリー・コンディション(金融環境)は物価や金融市場を安定させ、景気回復を持続させることに寄与していると判断した」とした。また、「現在のように情勢が急変するときには、政策金利をゼロ金利の水準から安全な距離を置くことが重要だ」と前回同様、緊急時の利下げ余地を残す必要性を指摘している。

 インフレ見通しについては、「20年12月のインフレ率は前年比2.7%上昇、コアインフレ率(間接税率の変更の影響を除くため一定税率ベースでみたコアインフレ率)は同3.4%上昇となった。インフレ率は20年9月からディスインフレ(物価上昇率の鈍化)リスクが強まったため、20年全体のインフレ率は3.3%上昇となった」とした上で、「21年のインフレ率は外部リスク要因が弱い上に、弱い内需がインフレの伸びを鈍化させるため、3.5-3.6%上昇となる可能性が高い。その後、22年には物価目標(3%上昇)に収束する」とし、前回会合時の見通しを据え置いた。

 景気見通しについては、「新型コロナの第2波感染拡大受けた感染阻止の規制措置により、ハンガリーの経済活動は10-12月期に再び弱まった」とし、その上で、「20年のGDP(国内総生産)はマイナス6.0-6.5%になったと見られる」とした。また、今後の見通しについては、「経済活動は21年4-6月期から正常に戻り始め、21年はプラス3.5-6.0%、22年はプラス5.0-5.5%になる」とし、前回会合時の見通しを据え置いた。

 今後の金融政策については、「景気回復や金融市場の混乱によるインフレ上昇を注視する。もし、インフレ見通しに政策の変更が正当化されるほどの変化が現れた場合、適切な手段を講じる用意がある」と金融引き締めに転換する可能性を示唆している。

 次回の金融政策決定会合は2月23日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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