<新興国eye>カンボジアと日本の貿易額、20年は減少

新興国

2021/3/12 15:47

 日本の財務省貿易統計によりますと、20年(1月-12月)のカンボジアから日本への輸出額は、対前年比8.4%減の1728億5002万円でした。また、カンボジアの日本からの輸入額は、対前年比15.5%減の517億7709万円でした。

 カンボジアから日本への主力輸出品である縫製関係は大きく落ち込みました。衣類(構成比64.9%)は対前年比10.8%減の1112億2106万円、履物(構成比10.9%)は同16.7%減の189億1057万円、バッグ類(同8.5%)は同5.5%減の147億4858万円にとどまりました。しかし、自動車部品のワイヤーハーネス等の電気機器(同7.6%)は同43.6%増の130億9437万円と大幅増加でした。

 日本からの輸入品では、一般機械(構成比22.1%)が対前年比4.4%減の114億6154万円となりました。ブルドーザーなどの建設用機械(同8.1%)とエアコン(同5.9%)が大きな比率を占めています。エアコンは対前年比25.0%増と伸びています。また、電気機器(同14.2%)も同4.0%減の73億6755万円となっています。自動車や二輪車などの輸送用機器(同16.6%)は同34.8%減の86億113万円と大きく落ち込みました。その中で、自転車および同部分品(同7.8%)は、同1.1%増と健闘しました。このほか、肉類(同15.8%)は同11.7%減の81億8674億円となりました。日本の高級牛肉と思われますが、その大半は中国に再輸出されていると言われています。

 20年の貿易統計においては、新型コロナの影響を大きく受けて、前年比減少する品目が目立ちました。しかし全体的には、落ち込みは予想よりも大きくなく、何とか踏みとどまっている格好です。

 ワクチンの普及などにより、日本経済も21年後半以降の立ち直りが想定され、カンボジアから日本への輸出も増加していくことが期待されます。また、カンボジア国内の富裕層の消費意欲は衰えておらず、ブームとなっている自転車や、エアコンなどが伸びている点は注目されます。ただ、新型コロナの影響については、未だはっきりとは見通せていないこともあり、今後の統計に注目が必要です。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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