FOMC、政策金利とQE政策を据え置き―テーパリングを議論する考えはないと強調
<チェックポイント>
●雇用最大化と物価目標(2%)の達成が前進するまで国債買い入れ継続
●「コロナ危機は経済活動の見通しに相当なリスク」の声明文文言を削除
●インフレ加速は経済再開などに伴う一時的もの―パウエルFRB議長
FRB(米連邦準備制度理事会)は28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を現状のゼロ金利(0-0.25%)に据え置くことを全員一致で決めた。市場予想通りだった。
量的金融緩和(QE)政策の質と量の両面からの調整(見直し)についても、現状を据え置いた。市場では現在の堅調な株式相場を支えている国債買い入れの規模の段階的縮小(テーパリング)の開始時期に注目しているが、FRBは今回の会合でも国債買い入れ目標を月800億ドル、MBS(不動産担保証券)を月400億ドルとするQEを継続する考えを示した。
FRBは現行のゼロ金利とQE規模を据え置いたことについて、FOMC後に発表した声明文で、前回会合時と同様、「最近の経済活動や雇用を示す指標は改善したが、パンデミックの悪影響が最も深刻に及んでいる経済セクターは依然、ぜい弱だ」とした。一方、「目前の新型コロナ危機が経済活動や雇用、インフレに下押し圧力をかけ続けている」との文言を削除し、代わりに「インフレは主に一時的要因で加速している」とした。市場ではこれをテーパリングに向かう第一歩と見ている。
しかし、パウエルFRB議長はFOMC後の会見で、「金融緩和政策は米経済がさらに強まり、新規感染者が急減するまで継続する」とした上で、「QE縮小を議論することも考えていない」と、改めて早期QE縮小の考えを否定した。
また、FRBは今回のFOMCでも結果重視のフォワードガイダンス(金融政策の指針)を再確認した。声明文で、「われわれの2つの使命である雇用の最大化と物価目標の達成に向かって、さらなる大きな前進が見られるまで国債買い入れを継続する」とした。「2つの目標(雇用最大化と物価目標)の達成が妨げられるリスクが生じれば、金融政策を調整する用意がある。新型コロナの感染状況や雇用市場の状況、インフレ圧力、金融状況や国際情勢を含めた幅広いデータを考慮する」との文言も残した。
償還期日が来た国債の全額をロールオーバー(売り戻さず、持ち越しによる長期保有)するほか、MBS元本の償還金の全額を国債とMBSへ再投資することも確認した。
当面の金融政策については声明文で、前回FOMCと同様、「われわれは長期にわたり、雇用の最大化と2%上昇の物価目標の達成を目指す。インフレ率が物価目標を下回っていることから、われわれはインフレ率が当分の間、緩やかに物価目標の2%上昇をオーバーシュートすることを目指す」とし、一定期間の平均でインフレ率を物価目標に収束させる、いわゆる「平均インフレ目標政策(AIT)」のフォワードガイダンスの継続を改めて強調。その上で、「雇用市場の状況が雇用の最大化と判断できる水準に達し、また、インフレ率が2%上昇に達し、当分の間、緩やかに物価目標の2%上昇をオーバーシュートする軌道に乗るまで、現状のゼロ金利水準を継続することが適切だ」との文言も据え置いた。
パウエル議長はインフレが加速しているとの認識を示し、「短期的にはコアPCE(個人消費支出)物価指数は物価目標の2%を超える」とした。ただ、20年のインフレ率が新型コロナの影響で低下したため、前年比でインフレ率が高めになるベース効果を指摘し、「インフレ率が実際より悪化したように見える」と付言した。
ゼロ金利の継続期間については、3月FOMCで発表された18人のFOMC委員による最新の3月経済・金融政策見通しによると、23年の金利予測を示す「ドット・プロット」の中央値で大半の11人(前回20年12月予想は13人)が0.125%を予想した。これは23年末までゼロ金利政策が据え置かれることを示す。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:モーニングスター社
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