<新興国eye>トルコ中銀、外貨建て預金準備率を2ポイント引き上げへ―物価安定狙い

新興国

2021/7/2 10:18

 トルコ中央銀行(中銀)は1日、市中銀行が中銀に預ける外貨建ての預金準備率をすべての預入期間で2ポイント引き上げることを決めた。これは金融市場でドルやユーロなど外貨の流動性を減らし、リラ高に誘導するための措置で、リラ高で輸入物価を抑制し、インフレ加速阻止を目指す中銀の金融政策効果を高めるのが狙いとなっている。

 この背景には、インフレ全体が加速していることがある。ここ数年インフレが2ケタ台の上昇率で急加速していることを受け、投資家が資産の目減り対策としてドルなどの外貨購入に走っているため、ドル高・リラ安となり、輸入物価が押し上げられている。21年1月時点での居住者の外貨や金など貴金属の保有額は2360億ドルを超えたが、6月18日時点では2260億ドルと、ほとんど減少していないのが実情。このため、外貨の流動性を減らすことにより、過去最高値に近い水準となっている現在のドル高からリラ高に誘導し、物価全体を抑制するのが中銀の狙い。

 外貨建て預金準備率は、預入期間1年未満が19%から21%に、同1年以上は13%から15%に、いずれも2ポイント引き上げられる。一方、金など貴金属による預金準備率は据え置かれた。さらに、リラ建て準備預金から外貨に転換できる上限も全体の20%から10%に引き下げられた。

 今後、中銀はトルコリラ建て預金を積み上げることを狙って、中銀が所要準備預金に対して支払う金利(レミュナレーション金利)についても現在の13.5%から状況に応じて15%、17%、19%の3段階まで引き上げるとしている。これにより、銀行は中銀に預けている外貨建て準備預金をリラに転換しやすくなり、ドル安・リラ高が進むことが期待される。

 これらの一連の措置は7月19日から有効となり、8月6日から始まる準備預金の積立期間から適用される。

<関連銘柄>

 上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ