<新興国eye>カンボジア、「国家循環経済戦略」を策定

新興国

2021/7/9 15:41

 6月28日、カンボジア政府の持続可能な開発に関する国家評議会(NCSD)とカンボジア環境省は、日本、スウェーデン、国連開発計画(UNDP)の支援を受けて策定した「国家循環経済戦略(National Circular Economy Strategy)」を発表しました。カンボジア経済の発展に従い、原料やエネルギーの消費量は急拡大しています。その結果、天然支援、環境、エネルギー、廃棄物等を持続可能な形で管理していくことが、新たな課題として浮上してきました。

 セイ・サマル環境大臣は、これまでのように資源を搾取・消費・廃棄するのではなく、この戦略により、バリューチェーン全体のループを完成させ、資源の価値をできる限り長期に維持していくことを目指すとしています。

 また、在カンボジア日本国大使館の三上大使は、「循環経済を創り出していくためには、ビジネスのベストプラクティスを共有していくことが重要な第一歩となる。このような知識共有によって、様々な産業が循環経済の手法を再利用し、産業全体が循環型に移行していくことを可能にできる」と述べています。

 カンボジアでも廃棄物処理の問題は、次第に重要度を増しています。また、環境を保全しながら開発を進めたり、クリーンな持続可能エネルギーの使用を増やしていくことも課題となりつつあります。こうした問題に、カンボジアが日本などの支援を受けて取り組むことは大変意義のあることです。今後の動向が注目されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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