来週の日本株の読み筋=200日線攻防、日米決算が支えになるかに注目

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株式

2021/7/9 16:20

 来週(12-16日)の東京株式市場で、日経平均株価は200日移動平均線(2万7522円)の攻防に入り、同線を明確に割り込まずに耐え切れるかをめぐる要所に差し掛かった。来週以降に本格化する日米の企業決算が支えになるかが注目される。

 今週は中盤から下落圧力が急激に強まり、日経平均は週末9日に5月半ば以来となる2万8000円割れの水準まで降下した(週内安値は2万7419円)。8、9日は指数連動型ETF(上場投資信託)の分配金ねん出売りのピークに当たり、警戒する動きも加速した。ETF絡みの売りをターゲットにしたカラ売りも多かったとみられ、目先は買い戻し主導の戻りも想定される。また、下値では余力の大きい国内年金の買いもうわさされていた。需給イベントに加えて日経平均先物ミニ・オプション7月限のSQ(特別清算指数)算出日を通過したこともあり、来週の日本株相場は落ち着きを取り戻す公算がある。ただ、「コロナ変異種の感染拡大や景気指標の頭打ちなどといった懸念要因が改善しないと上値は難しい」(準大手証券)との声も聞かれた。

 一方、4-6月決算発表は来週に米国で大手金融各社がスタートするほか、15日に半導体の台湾TSMCが控える。日本でも足元の2月企業の第1四半期(3-5月)決算に続き、来週から3月企業の第1四半期(4-6月)業績の開示も始まる。企業の収益回復はいったん織り込まれつつあった期待材料だが、多くの日本株は高値から水準を切り下げている。通期計画の上方修正も相次げば、改めて買いが流入する展開が見込まれ、日経平均の200日線防衛に寄与する可能性がある。

 スケジュール面では、国内で12日に5月機械受注、15日に日銀金融政策決定会合(16日まで)、16日に黒田日銀総裁会見、日銀「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)など。海外では13日に中国6月貿易収支、米6月消費者物価、15日に中国4-6月期GDP、中国6月小売売上高、中国6月工業生産、中国6月都市部固定資産投資、米6月鉱工業生産・設備稼働率、16日に米6月小売売上高などの発表が予定されている。

 9日の日経平均株価は3日続落し、2万7940円(前日比177円安)引け。変異ウイルス・デルタ株の感染拡大や景気回復の鈍化懸念を背景に7日の欧米株式が下落した流れを受け、売り優勢で始まった。指数連動型ETF(上場投資信託)の分配金捻出に伴う売りや、時間外取引の米株価指数先物安なども重しとなり、下げ幅は一時700円近くに達した。売り一巡後は株価指数先物買いを交え、引けにかけて急速に下げ幅を縮小した。市場では、日銀のETF(上場投資信託)買い思惑や年金買い観測が指摘された。一部では、「経済対策を進めている最中であり、調整は一時的とみている」(中堅証券)との指摘があった。

提供:モーニングスター社

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