ジーニー、「マーケティングSaaS」が収益拡大局面に

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2021/7/16 9:00

 ジーニー(6562・M)の業況がV字回復から一段と勢いを強めている。連結営業利益は1億9500万円に浮上した前2021年3月期(前々期は9100万円の赤字)に続き、今22年3月期は上限8億4000万円を計画する。インターネット広告のプラットフォームを主軸に、急成長中のマーケティング領域も本格的な収益拡大フェーズを迎えた。

広告プラットフォーム主軸に先端テクノロジーで成長

 ソフトバンクグループ(9984)の同社は、インターネット広告にかかわる「広告プラットフォーム事業」と、「マーケティングSaaS事業」を展開する。高度なデータ処理技術を基盤に複雑な広告枠の売買を仲介、大型屋外サイネージやタクシー広告などに幅広く採用されている。マーケティングはAI(人工知能)をはじめとする先端テクノロジーを駆使し、企業のマーケティングを自動化するほか、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)なども手掛ける。

 19年3月期、20年3月期と赤字が続いたが、前21年3月期に黒字に浮上し純利益(1億100万円、前々期は1億7800万円の赤字)は過去最高を更新。今22年3月期は広告プラットフォームで安定的に収益を確保しつつ、マーケティングSaaSの事業拡大を加速する。また、東南アジアでの海外展開も伸び代が大きい。営業利益の予想レンジは6億4000万~8億4000万円(純利益は5億2600万~6億6500万円)。

 マーケティングSaaSはSFA・CRMのサービス「ちきゅう」、マーケティング自動化の「MAJIN」が成長をけん引する。部門売上高は前21年3月期第4四半期(21年1~3月)に前年同期比3.4倍の高成長を記録するなど、右肩上がりの基調を形成。新たに加わった、サイト内検索も好調に推移している。

顧客当たりの提供プロダクト拡大へ

 顧客数を6000超(アクティブベース)まで積み上げてきた同社だが、工藤智昭社長によれば「数あるプロダクトの中で1つのサービスを利用している場合が大半」。クロスセルを進め、「客当たりのプロダクト数を増やしていくことで成長余地が広がる」。ソフバンGの傘下のヤフーやLINEといったネット企業と連携できる点も強みだ。

 ジーニーは各マーケティングプロダクトを互いにつなぎ合わせ、顧客の利便性向上と効率化を図りつつある。同社が提供できるサービスの市場規模は計1.2兆円に上るという。「プロダクトの性能向上や使いやすさの改善を重ねることで、市場を取り込んでいく」(工藤社長)。

 中・長期的には日本とアジアの企業に向けて、マーケティングの総合的なプラットフォームを提供していく考え。また、22年4月には東証が新市場区分に移行するが、将来的には最上位のプライム市場への上場を目標とする。24年3月期に売上高250億~300億円(今22年3月期計画は134億2500万~137億3900万円)、営業利益80億~90億円を目指す。

(写真:123RF)

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