<中原圭介の相場観>安川電機の株価からみる日本株の暗雲
2021/7/20 15:27
安川電機<6506.T>は日本株の先行きを占う先行指標として位置付けられる。景気敏感株であり、大手企業の中ではいち早く決算が公表されるからだ。
―さえない「先行指標」―
4月の前21年2月期決算発表の際には、内容が良かった(20年2月期比で連結営業利益12.3%増、純利益21.5%増)にもかかわらす、株価はその後下げ続け、日本株が下落基調になる要因の1つとなった。「決算まで持ち越したら、良い内容でも売られる」というパターンを、多くの投資家が認識してしまったのだ。
このため、7月9日に発表された同社の今22年2月期第1四半期決算を受けた株価の動向は注目されていた。業績は、営業利益、純利益(それぞれ前年同期比2.1倍、2.2倍)ともに市場予想を上回った。ところが、株価は翌営業日こそ5760円(6.5%高)で終了したものの、20日の寄り付きには5160円まで売り込まれている。
これは、日本株の先行きの悪さを暗示しているのかもしれない。
個人投資家の頭には、「日経平均株価が急落しても、すぐに反発する」という楽観的な見方が浸透しているように思う。確かに5月以降では、5月13日の2万7385円、6月21日の2万7795円、7月9日の2万7419円というそれぞれの安値からいったん急速に戻している。
―個人投資家の慢心突く投機筋―
20日の日経平均は米国株の大幅下落を受け、5月13日の安値を下回る2万7330円まで一時値下がりした。ここでは、個人投資家の旺盛な押し目買いが入ったとみられる。しかし、急反発の値幅が着実に縮小していることに加えて、戻り高値が徐々に切り下がっていることには注意を払うべきだろう。
個人投資家の慢心を突いて、海外投機筋が先物主導で2万7400円前後のボトムラインから下に売り崩すことも十分に考えられる。そういったケースでは、底値と思って買った個人投資家の投げ売りを誘発し、2万7000円割れも視野に入ってくる。
ただ、その時こそむしろチャンスととらえたいところだ。日経平均は2月16日に高値3万714円を付けた。その期日に向けて信用買い残の整理が進み、セリングクライマックスとなれば、本当の押し目買いの好機が訪れるかもしれない。(アセットベストパートナーズ 中原圭介)
提供:モーニングスター社
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