来週の日本株の読み筋=下値耐性が強まる可能性、アフターコロナ物色高まりそう

国内市況

株式

2021/8/27 16:34

 来週(8月30日-9月3日)の東京株式市場では、下値耐性が強まる可能性がある。日経平均株価は20日に年初来安値2万6954円(終値は2万7013円)を更新したが、その後反転し、25日には一時2万7897円まで引き戻した。米国のテーパリング(金融緩和の縮小)を意識しつつも、新型コロナウイルスのデルタ株の拡大がハト派的なムードを形成。さらに、日本では東京都の新規陽性者数にピークアウトの兆しがみられるなど、複数の要素が絡み合うことで市場心理が改善したとみられる。

 注目イベントのジャクソンホール会議を通過して迎える来週は、アフターコロナの物色機運が一段と高まりそうだ。国内の新型コロナワクチン接種率は1回目で5割を超え、2回目を済ませた割合も40%台に入っている。知らずに感染して免疫を獲得している人もいるとみられ、東京都の1日当たりの新規感染者数は前週の同じ曜日を下回る傾向を強めている。まだ未知の部分も多く安心はできないが、株式市場でリスタート(従来型の経済活動の再開)期待の銘柄を物色する上では一定の指標になっていると考えられる。また、9月29日投開票の自民党総裁選に出馬表明した岸田文雄前政調会長は、コロナ禍で打撃を受けた事業者に規模に応じて固定費を支援する方針を打ち出している。外食や旅行株などは、政局も思惑視する可能性がある。

 スケジュール面では、国内で8月31日に7月失業率・有効求人倍率、7月鉱工業生産、9月1日に4-6月期法人企業統計が発表される。海外では8月30日に米7月中古住宅販売仮契約、31日に中国8月製造業PMI(購買担当者景気指数)、中国8月非製造業PMI、中国8月コンポジットPMI、9月1日に中国8月Caixin製造業PMI、米8月ADP(オートマチック・データ・プロセッシング)雇用統計、米8月ISM(サプライマネジメント協会)製造業景況指数、2日に米7月貿易収支、3日に米8月雇用統計、米8月ISM非製造業景況指数などが予定されている。

 27日の日経平均株価は反落し、2万7641円(前日比101円銭安)引け。アフガニスタン情勢や米テーパリングを巡る警戒感から、26日の米国株式が下落した流れを受け、下げ幅は一時260円を超えた。売り一巡後はいったん下げ渋った。時間外取引の米株価指数先物が強含み、中国・上海総合指数や香港ハンセン指数が朝安後に切り返すなどアジア株高も支えとなり、前場終盤に70円強安まで引き戻した。後場は再度軟化して始まり、その後は底堅く推移したが、戻りは限定された。日本時間今晩の国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長講演を前に手控え気分となった。市場では、「下がれば買いが入ってくるようで、当面は値固めか」(準大手証券)との声が聞かれた。

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ