米12月コアCPI、前月比0.6%上昇―前年比5.5%上昇と、約31年ぶり高い伸び

経済

2022/1/13 10:28

<チェックポイント>

●中古車と家賃、食品が加速し、コア指数を押し上げ

●需給ひっ迫で、財・サービス価格の上昇が顕著

●全体指数も前年比7.0%上昇に加速―約39年ぶり高い伸び

 米労働省が12日発表した21年12月CPI(消費者物価指数)は、FRB(米連邦準備制度理事会)が重視しているコアCPI(価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたもの)が前月比0.6%上昇と、11月および市場予想の同0.5%上昇を上回った。

 一方、前年比は5.5%上昇と、11月の4.9%上昇をさらに上回り、3カ月連続で伸びが加速し、91年2月以来、30年10カ月ぶりの高い伸びとなった。市場予想の5.4%上昇も上回った。

 コア指数の前月比が依然高い伸びとなっているのは、中古車(トラック含む)と新車、家賃で高い伸びが続いていることに加え、経済活動の再開が進み、需要が拡大している一方で、サプライチェーンのボトルネック(供給制約による品不足)により、財やサービスの価格が値上がりしていることが背景にある。

 コア指数の前月比の内訳は、中古車(乗用車とトラック)が3.5%上昇(11月は2.5%上昇)、航空運賃も2.7%上昇(同4.7%上昇)、アパレルも1.7%上昇(同1.3%上昇)と、急伸したほか、新車も半導体不足による減産の影響で販売価格が上昇し、1.0%上昇(同1.1%上昇)、コモディティ(食料とエネルギーを除く国際相場商品)も1.2%上昇(同0.9%上昇)と、全体平均の0.6%上昇を上回った。

 シェルター価格は、帰属家賃(OER、持ち家でも借家と同様に住宅サービスを受けているとして家賃で評価したもの)が前月比0.4%上昇(11月も同0.4%上昇)。特に、ホテル宿泊料が同1.2%上昇(同2.9%上昇)となり、シェルター全体で同0.4%上昇(同0.5%上昇)となった。対照的に、自動車保険は同1.5%低下(同0.8%低下)、自動車修理も同0.1%低下(同横ばい)となった。病院は同0.3%上昇(同0.3%上昇)となっている。

 全体指数(季節調整後)は前月比0.5%上昇と、11月の0.8%上昇を下回ったものの、市場予想の0.4%上昇を上回った。月ごとに値動きの激しい食品とエネルギー、なかでも燃料価格と都市ガス価格が低下に転じ、全体の伸びを抑制した。

 エネルギーのうち、ガソリンは前月比0.5%低下(11月は同6.1%上昇)、重油も同2.4%低下(同3.5%上昇)、都市ガス料金も同1.2%低下(同0.6%上昇)と、いずれも低下に転じた。電気料金は同0.3%上昇(同0.3%上昇)と変わらなかったが、エネルギー全体では同0.4%低下と、11月の3.5%上昇を下回り、21年4月以来8カ月ぶりに低下に転じた。

 食品も前月比0.5%上昇と、11月の0.8%上昇や10月の0.9%上昇から伸びが2カ月連続で鈍化した。食品のうち、レストランなどで提供された外食価格は同0.6%上昇と、11月と伸び率は変わらなかったが、自宅調理用の食品は同0.4%上昇(11月は0.8%上昇)と、大幅に鈍化した。

 全体指数の前年比は7.0%上昇と、11月の6.8%上昇からさらに加速し、82年6月以来39年6カ月ぶりの高い伸びとなったが、市場予想の7%上昇とは一致した。市場の一部ではインフレ加速要因のサプライチェーンのボトルネックも海上輸送費の減少や輸送期間の短縮など緩和傾向を示し始めたとして、インフレ加速は12月にピークを迎えた可能性があると見ている。

 ただ、全体的には市場は12月のコア指数と全体指数の前年比の伸びが加速したことを受け、FRBによる早期利上げ、特に3月利上げ開始の可能性が一段と高まったと見ている。パウエルFRB議長も11日の上院公聴会で、「米経済はパンデミックに対処するためにわれわれが実施してきた極めて強い金融緩和政策をもはや必要としないか、または望んでいない」と述べ、早期利上げに傾いている。12月CPI発表後、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)の金利先物市場では22年に4回の利上げ(1回を0.25ポイントで換算)を50%の確率で織り込んだ。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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