<新興国eye>カンボジア、カーボンニュートラル長期戦略を国連に提出

新興国

2022/1/21 12:58

 21年12月31日、カンボジアは気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)に対し、カーボンニュートラル長期戦略(LT4CN)を提出しました。2050年までの長期戦略を提出期限の2021年末までに提出したのは49カ国のみであり、特にカンボジアは、提出した後発開発途上国としては2カ国のうちの1カ国ということです。カンボジアは、先進国などと比較すると温室効果ガスの排出量は圧倒的に少ないのですが、国際社会と協力して気候変動問題に取り組む強い姿勢を示したとしています。

 このカーボンニュートラル長期戦略は、関係する経済セクターのモデルと包括的分析に基づき、50年までにカーボンニュートラルを達成するという目標に向けた優先政策を定めたものです。具体的には、持続可能な森林セクター開発、電力・運輸の段階的低炭素化、エネルギー効率の改善、低炭素型農業・工業・廃棄物処理の促進等を実施するとしています。

 カンボジア政府では、この長期戦略の実施により、50年までにカンボジアのGDP(国内総生産)成長率を2.8%(約42億ドル)押し上げる効果が期待できるとし、44万9000人の雇用を創出すると見込んでいます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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