RBA、政策金利0.10%据え置き―2月10日で資産買い入れを終了
2022/2/1 15:08
<チェックポイント>
●5月会合で保有国債の再投資問題について検討―保有資産の減額を示唆
●インフレ率が持続的に2-3%上昇の目標範囲に収まるまで利上げせず―ロウ総裁
●市場は「8月から利上げ開始、年内4回の利上げ」を予想
豪準備銀行(RBA、中銀)は2月1日の理事会で、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)の誘導目標を過去最低水準の0.10%に据え置いた。据え置きは13会合連続。市場予想通りだった。
また、QE(量的金融緩和)の買い入れを2月10日で終了することを決定した。現在、RBAは国債などの資産買い入れペースを週40億豪ドル(月160億豪ドル)に減速している。RBAは前回21年12月会合で、QEの運用期間について、2月中旬までとする方針を据え置いた上で、2月以降、資産買い入れプログラムを見直す考えを明らかにしていた。
理事会後に発表した声明文で、資産買い入れの終了について、「他の中銀の動向(資産買い入れ終了)やオーストラリアの債券市場の機能、完全雇用と物価目標の達成に向けた進ちょく状況に基づいて判断した」、「目標に向けて予想よりも早い進展が見られ、さらなる進展が見込まれる」としている。また、RBAのバランスシート(保有国債残高)はパンデミック前の3倍以上となる約6400億豪ドルに達しているが、ロウRBA総裁は、今後の保有国債の減額について、「5月会合で、債券の満期償還金の再投資問題について検討する」とした。
一方、市場が注目していた利上げ開始時期について、ロウ総裁は、資産買い入れ終了直後を改めて否定。「実際のインフレが持続的に2-3%上昇の物価目標の範囲内に収まるまで、キャッシュレート(政策金利)は引き上げない」とし、従来の方針を据え置いた。市場では資産買い入れ終了から半年後の8月ごろに最初の利上げが実施され、年内4回の利上げを予想している。
利上げ開始の決定要因は賃金上昇のペースだが、依然として緩やかな伸びが不確実性を高めている。ロウ総裁はこれまで、賃金の強力な伸びがなければインフレの加速は一時的なものになる可能性が高いと主張している。オーストラリアの労働コストは21年7-9月期に2.2%上昇と、ロウ総裁が求めている3%程度の上昇を大きく下回っている。
インフレ見通しについては、「インフレ率は上昇しているものの、持続的に物価目標の範囲内にあると結論付けるのは時期尚早だ。供給サイドの問題が解決されるにつれ、インフレ率の上昇がどれほど持続するかは不確実性がある。賃金の伸びも緩やかなままであり、賃金の伸びがインフレの持続的な目標達成と一致するペースになるにはしばらく時間がかかる可能性がある」との認識を示し、利上げ開始には慎重な構えを崩していない。ロウ総裁は、「インフレに影響を与えるさまざまな要因がどのように進展するか注視しており、辛抱強く待つ準備ができている」と述べている。
最新データでは、21年10-12月期のコアインフレ率が7年ぶり高水準の前年比2.6%上昇、21年12月の失業率も4.2%となったが、ロウ総裁は利上げ開始の要件として、インフレ率が物価目標の中間値(2.5%上昇)と完全雇用(失業率4.0%)の状況が持続することを挙げている。
RBAは今回の理事会で、22年のインフレ見通しを約3.25%上昇(前回会合時は2.25%上昇)、23年を約2.75%上昇(同2.5%上昇)と、いずれも引き上げた。
景気見通しについては、22年を前年比約4.25%増、23年を同2.00%増と、いずれも前回予想(22年と23年はそれぞれ同5.50%増と2.50%増)から下方修正した。ロウ総裁は、「オミクロン株は経済に影響を及ぼしているが、景気回復を損なうことはない。経済は引き続き強じんだ」としている。
また、失業率の見通しについては、22年は4.00%未満に低下し、23年末には約3.75%とし、前回予想(22年末は4.25%、23年末は4.00%)からいずれも改善方向に修正した。
次回会合は3月1日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社
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