来週の東京外国為替市場見通し=米国のインフレと金融政策動向をうかがう動きが続く
予想レンジ:1ドル=133円00銭-138円00銭
6月27-30日のドル・円は上昇した。週初6月27日は一時円買いが強まるも、日本株の上昇などを背景に底堅く推移。28日、米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が積極的な利上げの必要性を強調し、日米金利差拡大観測からドル買い・円売りに傾いた。ただ、同日発表の米6月CB(コンファレンス・ボード)消費者信頼感指数が悪化し、上値を抑制。29日は、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の景気後退よりも高インフレを懸念する発言が伝わり、ドル・円を押し上げた。30日、米5月PCE(個人消費支出)デフレーターが市場予想を下回り、FRBによる急速な利上げ観測が後退する中で米長期金利の低下が続き、ドル・円は下落した。
7月6日にトランプ前政権が決定した中国への制裁関税「第1弾」が期限を迎える。バイデン政権でも対中強硬路線は変わらないが、対中制裁関税は米国のインフレの一因にもなっており、イエレン米財務長官は見直しの方針を表明している。米政府が制裁の緩和に動けば米金融引き締め加速観測がトーンダウンし、日米金利差縮小の思惑からドル・円の上値を抑える可能性がありそうだ。
週央に公表される6月開催分のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨にも注意したい。0.75ポイントの大幅利上げを決定した会合で、パウエルFRB議長はその後の会見でインフレを抑制すべく次回7月会合でも大幅利上げの継続を示唆している。議事要旨からFRBの金融引き締めペースをうかがう動きが出そうだ。その後は週末に控える米6月雇用統計をにらんだ展開。米経済指標ではその他、6月ISM(米サプライマネジメント協会)非製造業景況指数、米5月貿易収支なども発表される。なお、米国以外でもECB(欧州中央銀行)が7月から量的緩和政策を終了し利上げに踏み切る方針で、円独歩安が加速するシナリオにも警戒したい。
ドル・円はチャート上で、直近高値136.98円(6月29日)の上抜けを意識した展開。一方、25日移動平均線(6月30日終値基準)の1ドル=133.39円近辺がサポートライン。
提供:モーニングスター社
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