<新興国eye>マレーシア中銀、予想通り0.25ポイント追加利上げ-金融調整は徐々に緩やかを維持へ

新興国

2022/9/9 9:16

 バンク・ネガラ・マレーシア(中銀)は8日の金融政策決定会合で、インフレ上昇を抑制するため、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き上げ、2.5%とすることを決めた。市場の大方の予想通りだった。一部ではインフレのピークはまだ先と見て0.5ポイントの利上げを予想していた。

 マレーシア中銀は5月会合で、各国中銀がインフレ抑制で利上げサイクルに転換する中、18年1月25日以来、4年4カ月ぶりに利上げに転じ、金利水準は世界的な金融危機となった09年当時の2%に戻しており、これで利上げは3会合連続。利上げ幅は計0.75ポイントとなった。

 中銀は会合後に発表した声明文で、前回会合時と同様、「インフレ見通しは、主にウクライナ紛争と長期にわたる供給サプライチェーン関連の混乱、世界的なコモディティ(国際相場商品)価格の動向の影響を受け続けている」と、インフレ上ブレリスクがまだ残っていると指摘。その上で、「マレーシア経済のプラス成長の見通しは変わっておらず、金融緩和の程度をさらに調整(利上げ)することを決めた」とし、金融政策の正常化の必要性を強調した。

 インフレ見通しについて、中銀は、「インフレの全体指数は7-9月期にピークに達し、その後は、ベース効果が消え、世界的なコモディティ(国際相場商品)価格の下落に沿ってインフレ率が低下する」と予想している。7月のインフレ率は前年比4.4%上昇だった。しかし、その一方で、中銀は景気下ブレリスクが続いていると見ている。

 このため、今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様に、「今後の金融政策設定の調整(利上げ)は徐々にゆっくりとしたペースで行われ、物価安定と持続的成長を支えるため、金融政策を引き続き緩和的にする」とし、景気に十分配慮しながら小幅利上げを継続したい考えを改めて強調。

 市場では中銀が「コロナ感染がエンデミック(一定の季節や地域に流行する感染症)に移行したことや、政府の経済支援措置が今年4-6月期のより強力な成長(前年比8.9%増)に寄与した。今後、民間部門の支出からの支援に支えられ、継続的に成長する」と指摘していることを受け、金融政策の正常化の観点から利上げ余地はまだあると見ている。年内にあと1回の0.25ポイントの利上げ、さらに、来年1-3月期にも0.25ポイントの利上げにより、政策金利は3.25%に達すると予想している。中銀の政策金利はコロナ禍前の3%に比べ、まだ0.5ポイント低い水準にある。

 次回の会合は11月3日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ブルサKLC<1560.T>、アセアン50<2043.T>、アジア債券<1349.T>、

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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