<新興国eye>前週のブラジル株、世界同時不況懸念やウクライナの地政学リスク受け反落=BRICs市況

新興国

2022/10/3 9:19

 前週(9月26-30日)のブラジル株式市場は30日のボベスパ指数が前日比2.20%高の11万0036.79、週間ベースでは23日終値比1.50%安と、反落。この結果、月初来で0.48%高、年初来では4.99%高となった。

 週明け26日は指数が下落。翌27日まで3営業日続落した。28日は小反発。29日は反落した。

 週前半は、大統領選挙(10月2日)を控え、慎重な取引となる中、金融大手のブラジル銀行やイタウ・ウニバンコ、ブラデスコ、さらには国営石油大手ペトロブラスが売られ、下げを主導した。欧米各国の利上げ継続による世界景気のリセッション(景気失速)懸念で海外市場が下落したことが嫌気された。その後は、引き続き、世界同時不況の懸念で売りが優勢となった。ブラジル中銀の金融政策決定会合の議事録が公表され、これまでの利上げサイクルはかなり強いものだったが、インフレ抑制効果はまだ不十分との見方が示されたことが嫌気された。

 週後半は、自律反発。これまでの相場下落を受け、安値拾いや値ごろ感による買い戻しが活発化した。ただ、海外市場が世界同時不況懸念で軟調となったため、上値は重くなった。その後は、ウクライナの地政学的リスクの高まりや世界景気懸念の再燃、原油価格の下落で売りが強まった。ただ、中銀が23年6月から利下げに転換する可能性を示したため、下げは限定的となった。中銀は最新の四半期インフレ報告書を発表し、今年のインフレ見通しを従来予想の8.8%上昇から5.8%上昇に引き下げ、今年のGDP伸び率見通しも従来予想の1.7%増から2.7%増に上方修正している。

 週末30日は急反発。欧州市場が回復したことや、国内では2日の大統領選挙で、ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ元大統領が返り咲いた場合、ブラジルで最も長く中銀総裁を務め、市場の信認が最も厚いエンリケ・メイレレス氏(元財務相)がルラ政権に入る可能性があるとの見方が広がり、買いが優勢となった。また、鉱山大手ヴァーレと国営石油大手ペトロブラスも急伸し、上げを主導した。

 今週(3-7日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢巡る米中関係、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ブラジル大統領選挙(2日)の結果も注目される。主な経済指標の発表予定は3日の9月貿易収支や4日の9月IPC-Fipeインフレ指数(サンパウロ大学経済研究所(FIPE-USP)が発表する消費者物価指数)、5日の8月鉱工業生産と9月S&Pグローバル総合PMI(購買担当者景気指数)、6日の9月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGP-DIインフレ指数(全国卸売物価指数)と9月自動車生産・販売台数、7日の8月小売売上高など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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