【為替本日の注目点】NYダウ2日で1500ドル上昇

為替

サーチナ

2022/10/5 10:17

 ドル円は上値を重くし続落。各国中銀による過度の利上げ観測が後退したことでドル売りが続き、143円90銭前後まで下げる。ユーロドルも買われ、パリティー目前まで反発。株式市場は3指数が揃って大幅に続伸。米金融当局の大幅利上げに対する見方がやや後退。ダウは825ドル上昇し、ここ2日間で1500ドルを超える上昇。ナスダックも3.3%の大幅上昇。債券はほぼ横ばい。長期金利は3.63%台で推移。金と原油は大幅に続伸。

マーケット情報

8月製造業受注 → 0.0%

ドル/円 143.90 ~ 144.94

ユーロ/ドル 0.9887 ~ 0.9999

ユーロ/円 143.19 ~ 144.08

NYダウ +825.43 → 30,316.32ドル

GOLD +28.50 → 1,730.50ドル

WTI +2.89 → 86.52ドル

米10年国債 -0.006 → 3.633%

本日の注目イベント

独 8月貿易収支

独 9月サービス業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏9月サービス業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏9月総合PMI(改定値)

米 9月ISM非製造業景況指数

米 9月ADP雇用者数

米 8月貿易収支

米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

 世界的にインフレ高進が続く中、各国中銀による大幅な利上げ観測がやや後退してきました。インフレ抑制のため過度の利上げ観測が強い中、その可能性がやや薄れてきたことで、NY株式市場では連日の大幅上昇となり、ダウは2日間で1500ドルを超える上昇。ナスダックも昨日だけで3.3%も買われています。金利の先高観が薄れたことで金もここ2日で60ドルに迫る上昇を見せ、下落基調にあった流れが急転しています。また過度の利上げにより世界景気の鈍化が見込まれていましたが、これが避けられるとの期待からWTI原油価格もここ2日間で7ドル(約8.9%)の上昇を見せ、大きく売られていたビットコインも一時4%を超える上昇となり、2万ドルの大台を回復しています。上値の重かった日経平均株価も、連日大幅な上昇となり、本日も上昇する見込みとなっています。米金利の大幅な上昇にややブレイキがかかったことからドル円は上値が重くなり、NYでは143円台後半まで売られる場面がありました。

 「Thanks to RBA!」、株式関係の人たちからはそんな声も聞かれそうです。オーストラリア準備銀行(RBA)は4日、政策金利であるキャッシュレートを0.25ポイント引き上げ、2.6%にすると発表しました。利上げは想定通りでしたが、利上げ幅を「0.5ポイント」と予想していた市場にはややサプライズでした。RBAのロウ総裁は声明で、「キャッシュレートは短期間に大幅に引き上げられた」とした上で、「インフレ率を目標に戻す政策委員会の断固とした決意は変わらず、目標達成のため必要な対応を行う」と、あらためて表明しました。この決定を受け豪ドルは売られましたが、この影響が世界の債券市場にも伝播し、多くの国の債券市場では債券が買われ金利が低下しています。RBAの予想外の動きは、今年に入り世界の債券と株式相場を圧迫してきた積極的な利上げの波が終わりに近い兆候と解釈されるだろうといった声も聞かれました。ブルームバーグは、「世界的な大幅利上げが始まりではなく、終わりに近づいていると論じる根拠になる」と報じています。昨日、日経平均株価が776円高と大幅高を演じたのも、この影響とみられています。

 多くのFOMCメンバーがタカ派寄りの発言で足並みを揃える中、昨日のRBAの決定が「干天に慈雨」といった格好になりました。大きく売り込まれていた日米の株価は大幅に反発しましたが、まだこのまま簡単にインフレが収まるとも思えません。FRBのジェファーソン理事は4日の講演で、「物価の安定回復にはしばらく時間がかかるとみられ、潜在成長率を下回る経済成長の期間が必然的に伴う可能性が高い」と述べ、「私も同僚も、インフレ率を2%に戻す決意だ」と語っています。ジェファーソン氏は今年5月にFRB理事に就任し、今回の講演が就任後初めてとなります。このように、FRBのインフレに対する姿勢は全く変わっていません。今週末には米雇用統計の発表もあり、良好な結果が出れば再び大幅利上げ観測が浮上し、株安、債券安が進み、ドルが買われる可能性はあります。また、今夜発表されるADP雇用者数の結果次第でも同様なことが言えます。その意味では、まだ、大幅利上げの終焉を見込むのは時期尚早と考えます。ただ、市場は常に先を読む傾向があり、昨日のRBAの動きのように、利上げがあっても、今後大幅な利上げはなく、「利上げペースの鈍化が見込まれれば」、それが好感され、市場が大きく反応する可能性があります。いずれにしても、今後も為替、株式、債券の乱高下が続くことだけは間違いないと言っていいでしょう。

 ロシアとウクライナの激しい闘いは続いていますが、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は「ウクライナでの戦争は年単位ではなく、恐らく月単位で終わるだろう」との見方を示しました。ロシアへの反撃を強め、これまでと比べ戦況を有利に進めているウクライナですが、プーチン氏は兵士の増員を決めており、「使える兵器は全て使う」とまで豪語していたプーチン氏がウクライナから撤収するとは今のところ考えられません。「ウクライナでの戦争は終わる」ことに言及した発言を筆者は初めて耳にしましたが、長官顧問の発言には何か裏付けがあるのかもしれません。「勝者のいない」この戦争の1日も早い終結を願っています。

 本日のドル円は143円~145円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ