【為替本日の注目点】FOMC、4会合連続で0.75ポイントの利上げを決定

為替

サーチナ

2022/11/4 10:25

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は今後の政策金利の行方を掴み切れず明確な方向感が出ないなか、147円台から148円台で推移。前日のFOMC後には145円台まで下げたが、この日は長期金利の上昇もあり、148円44銭までドルが買われた。ユーロドルも再び値を下げ、0.9734まで下落。約2週間ぶりの安値に沈む。株式市場は続落。ダウは146ドル下落し、前日と合わせ650ドルを超える大幅な下げに。債券は続落し、長期金利は4.14%台に上昇。金と原油は売られる。

マーケット情報

新規失業保険申請件数 → 21.7万件

9月貿易収支 → -73.3b

10月ISM非製造業景況指数 → 54.4

9月製造業受注 → 0.3%

10月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 47.8

10月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値) → 48.2

ドル/円 147.61 ~ 148.44

ユーロ/ドル 0.9734 ~ 0.9794

ユーロ/円 144.03 ~ 144.58

NYダウ -146.51 → 32,001.25ドル

GOLD -19.00 → 1,630.90ドル

WTI -1.83 → 88.17ドル

米10年国債 +0.046 → 4.147%

本日の注目イベント

豪 RBA四半期金融政策報告

独 9月製造業新規受注

独 10月サービス業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏10月サービス業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏9月生産者物価指数

欧 ラガルド・ECB総裁講演

米 10月雇用統計

米 コリンズ・ボストン連銀総裁講演

加 10月就業者数

加 10月失業率

 FRBは2日、FOMC会合で4会合連続となる0.75ポイントの利上げを決めました。これでフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標のレンジは3.75-4.00%に引き上げられたことになります。今回の大幅利上げは市場に織り込まれていたこともあり、想定内でしたが、その後の声明文と、パウエル議長の会見を受け、ドル円は乱高下しました。

 声明文では、これまで通り委員会は最大限の雇用と2%の物価上昇の達成を目指すとしていましたが、加えて、「金融政策の適切なスタンスを見極める上で、委員会は今後の情報が経済見通しに与える意義を引き続き監視する。委員会の目標達成が妨げられる可能性のあるリスクが出現した場合、委員会は必要に応じて金融政策を調整する用意がある。委員会は公衆衛生や労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待を示す各指標のほか、金融・国際情勢などを幅広く考慮して判断する」としていました。この部分を市場は、「大幅な利上げペースを縮小する議論を開始する」と判断し、ドル売りを加速させ、ドル円は直後に145円66銭まで売られています。ところが、その後のパウエル議長の会見では幾つかの判断材料は提供されましたが、最終的には「最近のデータを踏まえれば、最終的な金利はより高くなる」との発言がドルを押し上げ、ドル円は147円台まで買われ、昨日は長期金利の上昇も支えとなり、148円44銭までドルが買われています。

 パウエル議長の発言内容から、ドルを買うべきか売るべきかを判断するのはやや難しかったと思います。最終的に市場はドル買いで反応したものの、議長は「どこかの時点で、利上げペースを落とすことが適切になるだろう」とも指摘しています。さらに、「その時期は近づいており、早ければ次回、ないしはその次の会合となる可能性はある。何も決定していない」と述べ、その上で、「政策金利が十分引き締まった水準になるまでには、なお幾分か道のりが残されている」とも説明し、「(利上げの)停止について考えるのはあまりにも時期尚早だ」と語っています。結局、予想した通り、「今後のデータ次第」ということと、「足元のインフレ抑制が最優先課題だ」という部分はブレていなかったということです。一方で議長が、利上げペースを落とすことに言及したのは今回が初めてであり、一連の利上げはピークが近いとも言えそうです。個人的には「8合目には到達している」と、理解しています。

 FRBに続き、3日にはイングランド銀行(BOE)も政策金利を0.75ポイント引き上げることを決めました。利上げ幅は過去33年間で最大となりましたが、将来も大幅利上げが続くとの市場の予想を強く打ち消し、市場の予想通り金利が上昇すれば、2年にわたるリセッションにつながると警告しています。英国の消費者物価指数(CPI)は9月が「10.1%」と米国のそれを上回り、BOEも早期にインフレを抑制することが求められています。これで、FRB,ECB,BOEと主要3カ国の中銀が揃って0.75ポイントという、通常の3倍もの大幅利上げを決定したことになり、日銀との金融政策の差があらためて意識される状況になっています。一方で、オーストラリアやカナダのように、インフレ鎮静化への手ごたえを感じ取ったのか、利上げは行ったもののこれまでの大幅利上げではなく、上げ幅を縮小する中銀も出てきたことには注意が必要かと思っています。先行きのことは誰にも分かりませんが、今後も利上げが続くと予想される中、ひょっとしたら上記3中銀の0.75ポイントの利上げは、今回が最後かもしれません。

 本日のドル円は147円~149円程度と見ますが、上値では介入警戒感も意識される中、149円台に乗せることが出来るかどうかにも注目です。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

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