【為替本日の注目点】米長期金利上昇でドル円140円台後半に

サーチナ

中国株

2022/11/18 10:23

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は139円台から上昇し、NYでは140円74銭まで買われる。セントルイス連銀総裁のタカ派発言に米長期金利が上昇し、ドル買いを促す。ドル高の流れにユーロドルはやや売られたものの、1.03台を維持。株式市場はブラード総裁の発言で大きく下げたが引け値では小幅安。ダウは7ドル安まで下げ幅を縮小し、S&P500も12ポイント安で引ける。債券は反落し、長期金利は3.76%台に上昇。金は続落。原油は3日連続で大幅安となり81ドル台に沈む。世界経済の減速をにらんだ荒っぽい値動きが続く。

マーケット情報

新規失業保険申請件数 → 22.2万件

10月住宅着工件数 → 142.5万件

10月建設許可件数 → 152.6万件

11月フィラデルフィア連銀景況指数 → -19.4

ドル/円 139.82 ~ 140.74

ユーロ/ドル 1.0306 ~ 1.0369

ユーロ/円 144.40 ~ 145.47

NYダウ -7.51 → 33,546.32ドル

GOLD -12.80 → 1,763.00ドル

WTI -3.95 → 81.64ドル

米10年国債 +0.076 → 3.766%

本日の注目イベント

日 10月消費者物価指数

欧 ラガルド・ECB総裁講演

英 10月小売売上高

米 10月中古住宅販売件数

米 10月景気先行指標総合指数

 セントルイス連銀総裁、ジェイムス・ブラード・・・・・・。

 やはり、この人の発言は大きかったです。昨日のコメントの最後に「個人的にはブラード・セントルイス連銀総裁の講演内容に注目しています」と書きました。ブラード総裁は、FRBは今年3月のFOMCで最初の利上げを行いましたが、それ以降も米インフレの高進について再々、「あなどってはいけない」と警告を発し、早くから大幅利上げを提唱してきました。FOMCでは3月の「0.25ポイントの利上げ」に始まりましたが、その後もインフレの加速が続き、ご存知のように全ての会合で利上げを行い、今月の会合でも「0.75ポイント」の大幅利上げを4回連続で決めました。12地区連銀の中ではNY連銀が圧倒的に存在感が大きく、同連銀総裁は常にFOMCでの「投票権」が付与されているだけではなく、FOMC会合では副議長として重要な役割もあります。それだけにNY連銀のウイリアムズ総裁の発言は常に注目されていますが、今年に限ってはブラード総裁の後塵を拝している印象で、ブラード総裁が「旬」だと言えます。因みに、同総裁は今年の「投票権」を持っています。

 昨日の発言は金融市場に大きな影響を与えていました。総裁は17日、ケンタッキー州で講演を行い、「十分抑制的な政策にするという金融当局の目標を達成するには、政策金利の水準をより高くする必要がある」と指摘し、「そうした寛容な想定の下であっても、政策金利はまだ十分抑制的と見なされる領域にはない。十分抑制的な水準に達するためには、政策金利はさらに引き上げられる必要がある」と述べています。また同総裁は記者団に対して、「私は以前、4.75-5%との見解を示していたが、きょうのこの分析に基づけば、5-5.25%ということになろう。その水準なら少なくとも(十分抑制的とみなされる)領域に達する」と語っています。(ブルームバーグ)ブラード総裁が示した金利水準の算出は、スタンフォード大学のジョン・テイラー教授が考案した「テイラー・ルール」が用いられているとしています。

 この発言を受け、株式と債券が売られ、長期金利が上昇したことでドル円は139円台後半から140円台後半まで買われています。また、大幅利上げ観測が修正されるとの観測が後退し、景気減速からWTI原油価格は3ドルを超える下げとなり、10月3日以来となる81ドル台まで売られています。今週初めに予想したように、10月のCPIが市場予想を下回り、米国のインフレがピークアウトしたとの見方が一気に台頭しましたが、多くのFOMCメンバーは先走る市場のバイアスをけん制する発言を行い、これがドルの下落を支える役割をしています。筆者も個人的には、米国のインフレがピークアウトした可能性は高いのではないかと考えていますが、まだ「単月」での話であって、これが少なくとも数カ月継続して示される必要があります。米国のインフレについてはまだ予断を許さないと見ておいた方がいいかと思われます。

 ポーランドに着弾し、2人の死亡者を出したミサイルを巡って、ウクライナのゼレンスキー大統領と米国の見方に違いが出ています。バイデン大統領は「軌道からするとロシアから発射された可能性は低い」と述べていますが、ゼレンスキー大統領は「ロシアのミサイルだと確認している」としつつも、「100%は分からない。何が起きたのか、世界も100%は知らないと思う」と述べ、「これがウクライナの防空ミサイルだと具体的には言えないだろう」と続けていました。ロシアは15日、大規模なミサイル攻撃を行い、ウクライナ当局の発表によると、ロシアは約100発のミサイルを発射し、このうち70発余りをウクライナ軍が撃ち落としたとしています。今後米国とNATOが調査を進めていくことから、ロシアからのものなのかどうかは判明すると思われますが、ポーランドでは犠牲者も出ていることから、ゼレンスキー氏としては認めたくないのかもしれません。

 3年ぶりとなる「日中首脳会談」がインドネシアで行われましたが、これまで台湾を巡る問題で緊張が高まっていただけに、対面で直接話が出来ただけでも効果があったと考えます。今後継続的に会談が行われるのかどうかが重要ですが、習近平体制がますます強化されている中で、あまり楽観的には見られないのではないかとも思います。

 本日のドル円は139円~141円といったところでしょうか。目立った材料が不足する中、ドル円のボラティリティーは3カ月で「11.8%」と依然高水準です。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm

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