【為替本日の注目点】WTI原油価格小幅ながら6日続落

為替

サーチナ

2022/12/12 9:59

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は欧州市場で135円台半ばまで売られたが、NYではPPIが予想を上回り、ミシガン大学消費者マインドも上振れしたことで一転して136円91銭まで上昇。ユーロドルは1.05台で推移し、明確な方向感も見られず。株式市場は反落。好調な経済指標を手掛かりに、3指数が揃って売られる。債券も売られ、長期金利は3.57%台に上昇。金は4日続伸。一方原油は6日続落し、71ドル割れ手前まで売られる。

マーケット情報

11月生産者物価指数 → 0.3%

12月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 59.1

家計純資産(3Q) → 392b

ドル/円 135.61 ~ 136.91

ユーロ/ドル 1.0500 ~ 1.0566

ユーロ/円 143.02 ~ 144.10

NYダウ -305.02 → 33,476.46ドル

GOLD +9.20 → 1,810.70ドル

WTI -0.44 → 71.02ドル

米10年国債 +0.094 → 3.578%

本日の注目イベント

英 10月鉱工業生産

英 10月貿易収支

米 11月財政収支

 上値の重いドル円は先週末の欧州市場では135円58銭前後まで売られる場面もありましたが、NY市場では好調な経済指標を受け一転してドルが買われ、136円91銭までドル高が進んでいます。上も下も経済指標などの結果を材料に試しには行くものの、勢いはなく続きません。やはり今年最後の重要イベントを前に、見極めたいとする姿勢が強いということのようです。CPIとFOMCの結果発表、さらに最も注目されるとみられるパウエル議長の発言があり、その内容次第ではこれから年末にかけての相場だけではなく、年明けの動きにも影響してきそうです。

 そんななか、今朝のブルームバーグは足元の高金利がどの程度長期化するかを巡り、金融当局と市場には認識の違いがあるといった興味深い記事を掲載しています。記事によると、「FOMCは今週の会合で0.5ポイントの利上げを実施し、来年早期の同じ行動を示唆することがほぼ確実視されており」とあり、ここまでは違和感は全くありません。続けて記事は、「短期的な見通しについては、市場もこれと同じ見方だが、来年遅くにピーク水準から急速に下がると予測している。インフレがFOMCの想定よりも鈍化する、あるいは失業増加が政策への圧力を強めるとの見方を反映したものだ。金利は景気抑制的な水準に『当面』とどまるとする」と述べています。市場の方がインフレに対してより楽観的に見ており、これが株安、債券高、さらにドル安につながっている可能性があるということのようです。記事では株式、債券、為替への言及はありませんが、「FOMCと投資家で見解の相違が鮮明になっており、パウエル議長の主張が試されることになる」と結んでいます。ブルームバーグが指摘するように、市場の見方がより楽観的であるならば、会合後のパウエル議長の発言は「タカ派的」になる可能性があり、前のめりになる市場をけん制することになるかもしれません。注目はCPIがどの程度鈍化しているのかという点と、パウエル議長の発言にしぼられそうです。

 先週、核戦争の可能性に触れたロシアのプーチン氏でしたが、同氏は再びその可能性に言及しています。キルギスで首脳会談を終えたプーチン氏は記者団に、「(核の使用を)われわれは検討している」と発言し、「米国は高精度ミサイルを使って予防的な攻撃を仕掛ける戦略をとっている。敵の士気をくじくための攻撃ということであれば、米国側のアプローチをわれわれも取ることを考えるべきだろう」と述べています。プーチン氏が核問題について話すのは先週だけで2回目です。正式には認めていないものの、ウクライナ軍はロシアの軍事施設への攻撃を強めており、10日にはヘルソンから撤退したロシア軍が結集しているウクライナ南部のメリトポリにある同市の軍事基地で約200人のロシア兵士が死亡したとの報道もあります。EUはロシア制裁第9弾を発表しており、フォンデアライエン欧州委員長は「ロシアへの圧力を強める」と語っていました。追い詰められたプーチン氏が「核」を口にする機会はますます増えるかもしれません。

 ドル円は依然として底堅い動きを見せるものの、先週末のように、良好な経済指標が出ると上値を試しますが、勢いはありません。140円台でドルを購入した投資家や、輸出企業も本格的にドル売予約の割合を増やし始めたことが、上値を抑えている可能性がありそうです。本日のドル円は135円50銭~137円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

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