FOMC、0.5ポイントの追加利上げ決定―今後の利上げ幅縮小示唆もドットチャートは引き上げ

経済

2022/12/15 9:31

<チェックポイント>

●23年末の政策金利見通しは5.1%―前回は4.6%

●利上げ継続の必要性を強調―景気後退の可能性が高まれば利上げ幅調整

●23年のGDP見通しは下方修正、失業率見通しは引き上げ

 FRB(米連邦準備制度理事会)は14日のFOMC(公開市場委員会)会合で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を0.5ポイント引き上げ、4.25-4.50%とすることを全員一致で決めた。政策金利の水準は07年以来15年ぶりの高水準となる。市中銀行がFRBに預け入れることを義務付けている準備預金の預入額に付与する金利も同率引き上げ、4.40%とした。

 利上げは3月会合から7会合連続。FRBは6月会合から前回11月会合まで4会合連続で0.75ポイントの大幅利上げを続けてきたが、今回の利上げ幅は市場予想通り縮小された。

 利上げ幅は市場予想通りだったが、19人の委員による政策金利見通しでは、23年末の政策金利が9月公表時点の4.6%から5.1%に引き上げられた。9月時点では、18人が4.25-5.00%と予想していたが、今回は5.00-5.25%と予想する委員が10人でもっとも多く、5.25-5.50%が5人、4.75-5.00%と5.50-5.75%がそれぞれ2人となった。

 また、24年末の政策金利見通しも、前回は2人の委員が予想した4.50-4.75%がもっとも高水準だったが、今回は1人の委員が5.50-5.75%と予想している。

 FRBは会合後に発表した声明文で、今後の金融政策のフォワードガイダンス(指針)について、前回会合時と同様、2%上昇の物価目標と雇用の最大化のために引き続き利上げの必要性を主張した一方、これまでの利上げが経済活動やインフレに影響を与えるまでの時間差を考慮する必要もあるとして、今後の利上げペースを緩やかにする可能性を示唆した。

 インフレの現状認識については、ウクライナ情勢などを背景に上昇リスクが残っているとしており、当面はインフレとインフレ期待を抑制するため、利上げを続ける考えを示した。一方、景気については、足元の経済指標が緩やかな伸びを示し、雇用も堅調としてリセッション(景気後退)懸念を否定したが、景気後退の可能性がある場合は利上げ幅を調整する可能性を示唆した。

 パウエルFRB議長は会合後の会見で、「(これまでの)利上げの効果はまだ完全に現れてはいない」と指摘。インフレを低下させるためには経済成長を持続的に抑制することや、労働需給の緩和が必要とし、利上げを継続する考えを改めて強調している。また、利上げの停止や利下げサイクルへの転換については、「インフレ率が2%上昇に低下していると確信するまで利下げを予想しない」とした。

 このほかの経済予測では、GDP(国内総生産)伸び率の見通しについては22年が0.5%増(前回予測は0.2%増)、23年は0.5%増(同1.2%増)、24年は1.6%増(同1.7%増)、25年は1.8%増(同1.8%増)と、23年と24年が前回予想から下方修正された。しかし、一部の委員は23年に成長率がマイナス0.5%と、リセッションになると予想している。

 失業率は22年が3.7%(前回予測は3.8%)、23年は4.6%(同4.4%)、24年は4.6%(同4.4%)、25年は4.5%(同4.3%)と、23年と24年が引き上げられた。市場ではリセッションの到来を予想させると懸念している。

 また、PCE(個人消費支出)物価指数でみたインフレ見通しは、22年のコア指数が4.8%上昇(同4.5%上昇)、23年は3.5%上昇(同3.1%上昇)、24年は2.5%上昇(同2.3%上昇)、25年は2.1%上昇(同2.1%上昇)と、22-24年の予想が引き上げられた。 全体指数は22年が5.6%上昇(同5.4%上昇)、23年は3.1%上昇(同2.8%上昇)、24年は3.5%上昇(同2.3%上昇)、25年は2.1%上昇(同2%上昇)と、いずれも予想が引き上げられた。

 次回会合は23年1月31日-2月1日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社

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