HCH・富永邦昭社長に聞く:NSSOLと提携し技術者の育成強化

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2023/2/20 9:00

 ヒューマンクリエイションホールディングス(=HCH、7361)が2月7日付で日鉄ソリューションズ(=NSSOL、2327)と資本・業務提携契約締結を公表した。株主構成が変動するだけでなく、事業面でも今後の飛躍を図るための資本・業務提携となる。また、今9月期の第1四半期決算が大幅な増収増益になるなど足元の業績も好調で、今後より一層の成長力強化に取り組む構えだ。NSSOLとの提携の狙いと今後のビジョンについて富永邦昭代表取締役社長=写真=に聞いた。

株主構成変動で事業基盤がより強固に

 ――NSSOLとの資本・業務提携などで株主構成が大きく変わりました。

 「2月7日付で筆頭株主だったリサ・パートナーズから当社が自己株式の買い受けを実施し、同日付でリサ・パートナーズがNSSOLに対し当社株式の譲渡を実行しました。これらの株式譲渡により、ベンチャーキャピタルであるリサ・パートナーズが当社の株主でなくなり、筆頭株主が当社(持株比率14.95%)、第2位株主がHCHグループ従業員持株会(同5.93%)、第3位株主がNSSOL(同4.08%)ということになります。大株主上位が当社と、事業面での相乗効果が図れる企業になるということから、今後の成長に向け、事業基盤がより強固になると考えています」

 ――NSSOLとの資本・業務提携について教えてください。

 「NSSOLが掲げる『ファーストDXパートナー』というビジョンの実現に向け、『デジタル製造業』『プラットフォーマー支援』『デジタルワークプレースソリューション』『ITアウトソーシング』の4領域での連携を想定しています。具体的にはNSSOLの抱える多くのプロジェクトに、当社から人財を参画させることによるプロジェクトの遂行とともに、高度IT人材、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の早期育成にも取り組んで参ります。技術者の育成には何より経験が必要で、今回の提携では育成の環境も整備できることになります。また、NSSOLの持つDX人材育成プログラムに当社の人財を参画させることも想定しており、早期育成にも取り組んで参ります。今回の提携発表後、当社にはより多くの引き合いが来ている状況です。当社はシステム開発の上流工程であるコンサルティング・受託開発の強化に取り組んでおり、その点でも大きな効果がありそうです。経験を十分に積んだ技術者をさらに活用しての新事業の創出も視野に入れています」

 ――御社は昨年、NTTデータ(9613)とも提携しています。

 「NTTデータとは金融機関向けプラットフォーム提供を目的とした業務提携で、当社子会社であるアセットコンサルティングフォース(ACF)のデジタル接客・営業ソリューション『コネクトフォースTM』を基盤製品に、金融機関向け共同サービスを展開しています。人材参画と言うよりいわば知見や技術の共有を主体としており、両社の知見、ノウハウを共有しながらブラッシュアップし、当社の製品やサービスの強化につなげる業務提携です。さらに、NTTデータが保有する豊富なクライアントとのネットワークを活用し、当社製品の幅広い業界、業務への導入、ユーザー層の拡大を図っています。現在は幾つかの実証実験を行っており、将来の事業拡大が見込める状況です」

 ――今9月期の第1四半期決算は連結売上高15億6300万円(前年同期比14.6%増)、営業利益1億4500万円(同70.4%増)と好調でした。

 「既存事業が順調に拡大した上、21年10月にヒューマンベース(HMB)、22年4月にコスモピアを連結子会社化した効果も出ています。また、引き続きコンサルティング・受託案件の受注に注力し、今期は実績のあるACF、ブレーンナレッジシステムズ(BKS)に加えて、HMBでも受託案件を成約しています。グループのシナジーが活性化しており、今後のさらなる展開が期待できます。なお、第1四半期における全売上高に対するコンサルティング・受託分野の割合は11.8%(前期末は13.5%)でしたが、受注から売上計上まで時間が掛かるため、今期も通期では成長継続を見込んでいます。一方、NSSOLとの提携効果については精査中で、通期業績は売上高63億5300万円(前期比9.5%増)、営業利益5億6000万円(同2.7%増)と、現段階では期初予想を据え置いています」

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