サニーサイドアップ・経営陣にインタビュー:引き合い多く新たな成長局面入り

無料

2023/3/9 9:00

 サニーサイドアップグループ(2180)は基幹事業のマーケティング&コミュニケーション事業、セールスアクティベーション事業のほか、オールデイダイニング「bills」展開のフードブランディング事業、新規事業開発のビジネスデベロップメント事業も展開している。PR、ブランディング、イベント企画など、情報を伝える・広げることを得意とし、40年近くにわたり幅広い分野で実績を積み重ねてきた。今後はこれまでに培った知見、ノウハウを生かし、新しい事業展開から成長力強化を目指す構えだ。同社の現状と今後について次原悦子代表取締役社長と渡邊徳人代表取締役副社長に聞いた。

 ――コロナ禍で20年6月期の業績は苦戦したものの、その後はV字回復し、前6月期は過去最高の売上高、利益を達成しました。今期も連結売上高165億円(前期比1.9%増)、営業利益10億円(同30.2%増)を見込んでいます。

 次原代表取締役社長「20年6月期は新型コロナウイルスの影響で下期にクライアントのマーケティング活動が縮小し、厳しい結果となりました。しかし、当社には総合的な提案力があり、多彩なニーズに対応した幅広いソリューションを提供することができます。クライアントのニーズ自体が変わり、伝える手法も大きく変化していく中、収益力は20年6月期を底に回復し、現在、新しい成長に向かっています」

 渡邊代表取締役副社長「今期の業績も好調で、上期の売上高が108億2800万円(前年同期比24.3%増)と初めて100億円を超えました。営業利益は8億5100万円(同74.7%増)と大幅に増加し、上期ベースで過去最高を更新しています。通期予想に対する進ちょく率は85.2%と高く、超過達成ペースです。通期業績予想については、人材投資の強化を予定することから、現段階では変更していません。もっとも、下期の事業環境も特にマイナスとなるような要因はなく、引き合いは依然として好調です」

 ――御社の強みは何ですか。

 次原代表取締役社長「当社は、特定の業種に限定することなく、PRを軸にプロモーション、イベント、ブランディングなど、ニーズに応じてさまざまなソリューションを提供してきました。PR領域から、より上流のマーケティング・コミュニケーション領域へと、提案範囲を拡大しています。また現在、グローバル・クライアントからの引き合いが増加しており、当社ホームページから直接の引き合いと、パートナーシップを締結した海外エージェンシー経由がありますが、海外エージェンシーとのネットワークがあるのも当社の強みです」

 ――グローバル・クライアントへの対応について教えてください。

 次原代表取締役社長「現在、コロナ禍からの回復、円安の影響から、日本進出を狙う海外企業からの問い合わせが急激に増えています。当社のグローバル・クライアントには、既に日本で拠点を持つ大手外資系企業と、日本で初めて事業展開するベンチャー企業があり、特に後者の増加が顕著になっています。グローバル・クライアント向け売上高も急増しており、この1年間の新規クライアント上位30社におけるグローバル・クライアントの売上構成比は70%になりました。これまで体制が追い付かないこともありましたが、ニーズを取りこぼさないよう、人材の拡充に取り組みながら、グローバル・クライアントへの対応を強化していきます」

「伝える手法」生かし新事業展開へ

 ――今後の事業展開についてはどう考えていますか。

 次原代表取締役社長「世界には大きな可能性を持つ、まったくあたらしいプロダクト、ソリューションがあります。ただ、そういった企業がモノ・ヒト・コトを社会に大きく広めることは簡単ではありません。一方、当社は0から1を作り出すことはできませんが、当社には『伝える手法』があり、1を10にも100にも広げていくことができます。その強みを生かし、今後、有望なプロダクト、ソリューションがあれば、当社の知見、ノウハウを生かして、従来の受託型サービスとしてではなく、事業投資という選択肢も含めて、積極的な展開を図りたいと考えています。イメージとしては、『bills』でパンケーキを日本に定着させたことが近いと思いますが、プロダクト、ソリューションのポテンシャルを見極め、社会に広めていくことが当社ならできるはずです。私たちらしく、フェムテックやウェルビーイングなど、戦略的に領域を定めて進めたいと考えています」

 渡邊代表取締役副社長「当社はPR事業を手掛けていることから、幅広い分野の最新の情報が集まってきます。場合によっては企業と企業をマッチングし、より大きな事業にしていくこともできると思います」

 ――人材が重要とのことですが、採用の方針はどういったものですか。

 次原代表取締役社長「当社は人材について、性別・年齢・国籍などの属性にかかわらず、機会を等しく提供することが基本方針です。現在、取締役に占める女性比率は33.3%、執行役員を含む役員に占める女性比率は37.5%で、グループ全体では管理職に占める女性比率は44%です。外国人比率は8.8%で、これからさらに高くなる可能性もあるでしょう。私は一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)で、ダイバーシティ推進委員会委員長を務めていることもあり、こういった点に関しては今後より積極的に対応していきます」

 ――将来の成長ビジョンを教えてください。

 渡邊代表取締役副社長「物価高などもあり、今後の景気については慎重な見方が増えていると理解していますが、国内だけでなく、海外からのニーズも大きく、当社の事業は好調な状況が続くとみています。その中で、当面は将来の成長を視野に入れ、人材をはじめとした戦略投資を大きく強化していく計画です。もちろん、売上高、利益の成長を確保した上で、ということが前提です。コロナ前に実現した高水準の成長率を維持しながら、新事業を加えることでより一層の成長を目指します。3~5年のスパンで、成果を出していきます」

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ