【為替本日の注目点】ドル円138円に迫るが、その後荒っぽい動きに
ひと目でわかる昨晩の動き
NY市場
ドル円は続伸し、東京時間昼過ぎには137円92銭近辺まで上昇。NYでは一転して136円台半ばまで下げる荒っぽい動きも。テクニカル的には上昇の可能性は高まってきたものの、警戒感も見られる。ドル高が続いていることでユーロドルは1.0530まで売られる。株式市場でパウエル議長の議会証言があったものの、まちまちの展開。ダウは続落したが、ナスダックとS&P500は小幅に反発。債券は続落。長期金利は3.98%台に上昇し、再び4%をうかがう。金と原油は続落。
マーケット情報
2月ADP雇用者数 → 24.2万人
1月貿易収支 → -68.3b
1月求人件数 → 1082.4万件
ドル/円 136.48 ~ 137.44
ユーロ/ドル 1.0530 ~ 1.0574
ユーロ/円 144.23 ~ 144.81
NYダウ -58.06 → 32,798.40ドル
GOLD -1.40 → 1,818.60ドル
WTI -0.92 → 76.66ドル
米10年国債 +0.026 → 3.989%
本日の注目イベント
日 10-12月GDP(改定値)
中 中国2月消費者物価指数
中 中国2月生産者物価指数
米 新規失業保険申請件数
米 米大統領、予算教書
米 バー・FRB副議長講演
前日に続きパウエル議長の議会証言が下院金融委員会で行われました。議長は前日述べたことを繰り返し、「必要なら利上げを加速させる用意がある」と述べるとともに、「3月の会合に関しては何も決定していない」と述べ、今後のデータ次第だと説明していました。データでは、この日発表された「1月の求人件数」のほか、10日発表の「2月の雇用統計」と、14日発表の「2月の消費者物価指数」を挙げていました。議長はまた、「利上げペースを今年減速させることは、今後生じる効果をより多く見る一つの方法だ」とも述べています。インフレ率については、「低下しつつあるが、非常に高い。この高インフレの一部は、極めてタイトな労働市場に関連している可能性が非常に高い」と説明しています。結局、議長は利上げ幅の加速はあり得るものの、今後発表される重要データを確認したいとの考えを示した格好でした。議会証言初日の上院での発言は市場に大きなインパクトを与えましたが、この日の発言はほとんど影響がなかったものと思われます。
ドル円は堅調に推移し、昨日の東京時間昼過ぎには137台半ばを超え、一時は137円92銭前後まで上昇しました。昨日のこの欄でも触れましたが、昨年10月の151円94銭から今年1月の127円22銭まで下落した値幅の「半値戻し」が意識されたことと、日足チャートの「200日移動平均線」を超えたことでドル買いが加速したようです。この水準では「ストップロス」のドル買いも出ていた可能性もあります。ただその後のNYでは一転してドルが売られる場面もあり、ドル円は136円48銭近辺まで下落するなど、荒っぽい動きとなっています。ドル円はすでに今年の安値から10円以上も値を戻しており、円高を見越していた相場観の修正や、依然として円高の可能性にかける向きの「せめぎあい」の水準にもなっているようです。筆者も円高を予想した一人ですが、想定していたよりも早い段階で、順調に低下してきた米インフレ率の鈍化が確認されたことが「要因」になっています。目先はもうしばらくドルの上昇余地はあると思われますが、140円前後ではそろそろ警戒感も強まる水準ではないかと考えます。パウエル議長が議会証言でも述べたように、今後のデータを確認するしかありません。
雇用統計の前哨戦とも言われる「ADP雇用者数」では、市場予想の「20万人」を上回る「24.2万人」と、依然として労働市場の底堅さを示しています。ITと金融の分野で人員削減が何度も報道されていましたが、娯楽・ホスピタリティ分野の伸びが全体を押し上げていました。レイオフも今のところ、上記2分野で限定的といったところでしょうか。ADPのチーフ・エコノミストは「採用の動きは力強く、経済と労働者にとってはプラスだが、賃金の伸びは依然かなり高い状況だ。それだけに近い将来インフレが急速に鈍化する可能性は低い」と述べています。(ブルームバーグ)
本日から日銀の金融政策決定会合が開催されます。黒田総裁にとって最後の会合になりますが、一部には依然として「政策修正観測」がくすぶっているようです。債券市場の機能が損なわれていることは植田新総裁候補も認めているもので、植田体制になる前の最後の会合でYCCなどの修正が行われるとの見方のようです。また昨年12月のサプライズのインパクトが大きく、頭の片隅に残っているのも事実です。「最後のサプライズ」はあるのか・・・・、可能性は極めて低いとみられます。
ウクライナ東部の要衝バフムトではロシアの攻勢が続いており、ウクライナ側の戦況は劣勢となっていますが、NATOのストルテンベルグ事務総長は、「ロシアは多大な損出を被ったが、バフムトが最終的に数日以内に陥落する可能性も排除できない」と述べ、「従って、これが必ずしも戦況の転換点を反映するものではないと言明しておくことは重要だ。ロシアを過小評価せず、ウクライナ支援を継続する必要があることもあらためて強調したい」と語っています。ウクライナのレズニコフ国防相は、武器弾薬のさらなる支援を要求しています。
本日のドル円は136円~138円程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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