【為替本日の注目点】NY市場の金融不安やや収まる

為替

サーチナ

2023/3/15 9:50

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 前日132円30銭まで売られたドル円は反発。米金利の上昇もあり、NYでは134円90銭まで上昇ユーロは底堅く推移し、1.0750まで上昇。株式市場は3指数が反発。信用不安の最悪期は過ぎたとの見方もあり、ダウは6日ぶりに上昇。債券も巻き戻しが入り反落。長期金利は3.68%台に上昇。連日大きく買われていた金は小幅に反落。原油は大幅に続落し、一時は70ドル台後半まで売られる。昨年12月以来の安値に。

マーケット情報

2月消費者物価指数 → 0.4%(前月比)

ドル/円 133.85 ~ 134.90

ユーロ/ドル 1.0693 ~ 1.0750

ユーロ/円 143.49 ~ 144.41

NYダウ +336.26 → 32,155.40ドル

GOLD -5.60 → 1,910.90ドル

WTI -3.47 → 71.33ドル

米10年国債 +0.116 → 3.689%

本日の注目イベント

日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(1月17日、18日分)

中 2月小売売上高

中 2月鉱工業生産

欧 1月鉱工業生産

米 2月小売売上高

米 3月NY連銀製造業景況指数

米 2月生産者物価指数

米 3月NAHB住宅市場指数

加 2月住宅着工件数

 シリコンバレー銀行(SVB)などの破綻にともなって急速に高まった金融不安から、米国だけではなく日本でもその影響は大きく、昨日の日経平均株価は銀行株が下げをけん引し、600円を超える下落でした。ドル円は前日のNYで132円30銭を付けた後は、落ち着いた動きとなり緩やかなドル買い戻しが優勢の展開でした。NYでは今回の混乱も「最悪期は過ぎた」といった声も聞かれ、前日までの巻き戻しの動きが優勢でした。

 ドル円は米長期金利が大きく上昇したことで134円90銭前後まで買われ、NY株式市場でも3指数は揃って大幅に反発して取引を終えています。リスク回避の強まりから大幅に買われた金も昨日は反落しましたが、下げ幅は小幅でした。一方、WTI原油価格は前日比3ドル47セント(4.6%)下げ、71ドル台で引けています。潤沢な供給と米経済の先行き不安の高まりで売られたようですが、一時は70ドル台まで売られ、昨年12月以来となる安値に沈んでいます。原油価格についてはゴールドマンなど、多くのビッグ・プレイヤーは夏辺りまでに100ドル台を回復すると予想しています。

 注目された米2月の消費者物価指数(CPI)は、総合指数では前月比「0.4%」、前年同月比「6.0%」と、今回は市場予想と一致していました。ただ、コア指数の前月比では「0.5%」上昇しており、予想の「0.4%」を上回っています。この結果に、おそらくパウエル議長もほっと胸をなでおろしたことでしょう。インフレ率が予想を上回ったとすれば、利上げ圧力は続く一方、SVBの経営破綻を受けて金融安定へのリスクが増大するなか、利上げと利下げとの板挟みとなり、FRBにとっても難しい判断を迫られる状況になります。このような背景もあり、来週行われるFOMC会合での金融政策を巡っては、市場の見方も大きく振らされています。パウエル議長の議会証言を境に、「0.5ポイントの利上げ」確率が一気に高まり、金融市場も「0.5」を織り込む形で動きましたが、SVB破綻をきっかけにその見方が大きく後退。欧米の大手金融機関数行は「3月会合では利上げ見送り」に見方を変え、ノムラ・インターナショナルに至っては、「利下げ」まで予想していました。そして、昨日のNYではやや落ち着きを取り戻したこともあり、「0.25ポイントの利上げ」と、再び元の鞘に戻った状況です。この後会合までには、輸入物価指数、ミシガン大学消費者マインド、景気先行指数などの発表も控えており、再び予想が変るかもしれませんが、個人的には「0.25」の可能性が高いと予想しています。

 黒海上空で哨戒活動中の米空軍無人機が、ロシアの戦闘機に衝突されて墜落したと米欧軍が明らかにしました。それによると、米軍の「MQ-9」無人機はロシアの戦闘機「Su-27」2機から数回にわたってインターセプト(進路妨害)を受け、そのうち1機はMQ-9のプロペラに接触したようです。(ブルームバーグ)偶発事故とはいえ、やや不穏な雰囲気もあります。中国の習近平国家主席はプーチン氏との会談を予定しており、その後ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談も予定されています。中国が停戦への仲介を担う可能性もある中、事態が悪化しないか懸念されます。

 ドル円は132円台前半から反発したことで、日足ではローソク足が再び雲の上に顔を出した格好です。日足チャートを軸に見る限り、ドル円のトレンドはまだ変わっていないと判断できます。ただ来週にはFOMCを控えており、上記ロシアと懸念材料もあり、さらに米国発の金融不安もまだ完全に払拭されたわけではありません。

 まだまだどちらに動くのか、手探りの状況は続きます。

 本日のドル円は133円~135円程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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