米3月コアCPI、前月比0.4%上昇―前年比5.6%上昇、市場予想と一致

経済

2023/4/13 9:14

<チェックポイント>

●シェルター価格は減速も輸送サービスは加速

●全体指数は市場予想下回る―エネルギーや食品価格の落ち着きが影響

●市場、5月は利上げ継続も6月に据え置きを予想

 米労働省が12日に発表した3月CPI(消費者物価指数)は、FRB(米連邦準備制度理事会)が重視しているコアCPI(価格変動が激しいエネルギーと食品を除く)が前月比0.4%上昇と、2月の0.5%上昇を下回ったが、市場予想の平均値と一致した。また、前年比は5.6%上昇と、2月の5.5%上昇からやや加速したが、これも市場予想と一致した。

 一方、エネルギーと食品を含めた全体指数は前月比0.1%上昇と2月の0.4%上昇から急減速し、市場予想の0.2%上昇も下回った。前年比も5.0%上昇と2月の6.0%上昇を大きく下回り、市場予想の5.1%上昇をやや下回った。エネルギーや食品価格の落ち着きが影響した。

  エネルギー全体は前月比3.5%低下(前月は0.6%低下)と2カ月連続で下落。ガソリンが下落に転じ、暖房用の重油は4カ月連続で低下。このほか、都市ガス料金は2カ月連続の低下となった。電気料金は0.7%上昇(前月は同0.5%上昇)だった。

 食品は横ばい(2月は0.4%上昇)。食品のうち、レストランなどで提供された外食価格は上昇したが、自宅調理用の食品が下落に転じた。

 このほかのセクター別の前月比は、家賃やホテル宿泊料などのシェルター価格(家賃・宿泊費)が0.6%上昇と、前月の0.8%上昇を下回った。ホテル宿泊料は伸びが加速したが、帰属家賃、賃貸住宅ともに減速している。アパレルも0.3%上昇と、前月の0.8%上昇から減速した。半面、新車は0.4%上昇と、前月の0.2%上昇から加速。中古車やメディカルケアサービス(処方せん代や病院治療費)は低下幅が縮小した。輸送サービスは航空運賃が減速したものの、全体としては1.4%上昇と、前月の1.1%上昇から加速している。

 前年比は、食品が8.5%上昇(前月は9.5%上昇)、エネルギーが6.4%低下(前月は5.2%上昇)だ。シェルター価格は8.2%上昇(前月は8.1%上昇)となったが、航空運賃を含めた輸送サービスが13.9%上昇(同14.6%上昇)と減速した。航空運賃が17.7%上昇(同26.5%上昇)と急減速している。中古車は11.2%低下(同13.6%低下)、新車は6.1%上昇(前月は5.8%上昇)だった。

 統計発表直後、寄り付き前のニューヨーク市場では政策金利に敏感な2年国債と、長期金利を示す10年国債の利回りがいずれも大幅に低下した。利回りの低下はインフレ懸念が緩和、利上げサイクルが終了にかなり近づいたことを示す。

 市場では、コア指数が市場予想と一致したことから、次回5月2-3日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、前回3月会合時と同様、0.25ポイントの小幅利上げを実施するとみている。ただ、全体指数が大きく減速し、市場予想を下回ったため、今後、景気の弱さが意識されれば、少なくとも6月会合で利上げサイクルが停止する可能性があるとみている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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