<新興国eye>前週のインド株、アダニグループの下落や投資資金流出懸念を受け続落=BRICs市況

新興国

2023/5/8 9:13

 前週(2-5日)のインド株式市場で、代表的株価指数SENSEX指数の5日終値は前日比1.13%安の6万1054.29、週間ベースでは4月28日終値比0.10%安と、続落した。

 週明け1日は「マハーラーシュトラ・デー」の祝日で休場。取引が再開された翌2日は指数が上昇、8営業日続伸となった。3日は反落、4日は反発した。

 週前半は、休み明け後、企業の1-3月期決算が好調となり、買いが優勢となった。ITサービス大手テック・マヒンドラや鉄鋼大手タタ・スチール、電力大手NTPC、スズキのインド法人マルチ・スズキ・インド(MSI)などが買われ、上げを主導した。

 週後半は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策決定会合を控え、取引が慎重となる中、海外市場が主要中銀の利上げ継続懸念で軟調となったことを受け、インド市場でも売りが優勢となった。また、格安航空大手ゴー・ファーストの破産法の適用申請を受け、傘下のボンベイ・ブルマーやボンベイ・ダイイングが急落、また、不正会計問題で揺れた複合企業大手ゴータム・アダニ・グループ傘下の主要企業も決算発表後、急落、下げを主導した。

 その後は、FRBが追加利上げを決めたものの、次回6月会合で利上げサイクルが一時停止となるとの観測が強まり、買いが優勢となった。外国人投資家の買い越しや、企業の好決算も支援材料となった。住宅金融大手ハウジング・デベロップメント・ファイナンス(HDFC)や複合企業大手リライアンス・インダストリーズなど大型株が買われ、上げをけん引した。

 週末5日は急反落。HDFCとHDFC銀行が急反落、下げをけん引した。両社が7月にも経営統合する見通しだが、統合後の新生HDFC銀行のMSCIグローバルスタンダード・インデックスでの構成ウェートが予想よりかなり低くなるとの観測が背景。また、米国の金融不安懸念や世界景気の悪化懸念も相場を押し下げた。

 今週(8-12日)のインド市場はウクライナ戦争と西側の対ロ制裁、原油価格の動向、世界経済、特に米・中・欧の景気動向や金融政策、米中関係、インド国内のインフレ動向、主要企業ニュース、欧米の金融不安の動向、インド太平洋経済枠組み(IPEF)首席交渉官会合(8-15日)も注目される。主な経済指標の発表予定は12日の3月鉱工業生産と4月CPI(消費者物価指数)など。

<関連銘柄>

 インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、インドベア<2047.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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