<新興国eye>ポーランド中銀、予想通り金利据え置き―8会合連続

新興国

2023/5/11 8:50

 ポーランド中銀は10日の金融政策委員会で、これまでの積極的な利上げによる景気後退懸念に配慮し、主要政策金利の7日物レファレンス金利を6.75%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 また、中銀はロンバート金利と再割引金利、公定歩合、預金金利もそれぞれ7.25%、6.80%、6.85%、6.25%と、いずれも据え置いた。

 中銀はコロナ禍後のインフレ急加速を受け、21年10月会合で9年5カ月ぶりに利上げに転じ、22年9月会合まで計11会合連続で利上げを継続。利上げ幅が計6.65ポイントに達したことから、利上げの効果を見るため、翌10月会合で据え置きに転じた。これで据え置きは8会合連続となる。

 中銀は声明文で、金利据え置きを決めたことについて、前回4月会合時と同様、「世界景気の後退とコモディティー(国際相場商品)価格の下落が世界のインフレを抑制し続け、ポーランドのインフレ低下に寄与する」、また、「(国内では)信用の伸びが大幅に減少する中、消費を含むGDP(国内総生産)成長率の鈍化がインフレ率の低下につながる」とし、その上で、「中銀によるこれまでの大幅な金融引き締めがインフレ率の物価目標への収束(低下)につながる」とし過去に実施した累積的な利上げ効果を見守りたい考えを改めて強調した。

 同国のインフレ率は4月が前年比14.7%上昇と、3月の同16.2%上昇や2月の同18.4%上昇を下回り、2カ月連続で伸びが減速した。中銀は、「コモディティー価格と生産者物価指数(PPI)が低下し続けており、供給サイドの外部ショックが徐々に緩和されている」とした上で、インフレの見通しについて、「経済活動の後退と相まって、今後数四半期、国内CPI(消費者物価指数)で見たインフレ率の低下を後押しする」と楽観的に見ている。

 中銀の最新の3月経済予測によると、23年のインフレ見通しは10.2-13.5%上昇、24年は3.9-7.5%上昇、25年は2.0-5.0%上昇と予想、インフレ率は25年から物価目標に収束すると予想している。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「マクロ経済と金融の安定と、中期的にインフレ率を物価目標に収束させるために必要なすべての措置を講じる」とした上で、「今後の政策決定は、今後のインフレと経済活動の見通しに依存する」とし、インフレが高止まりする場合、利上げ再開の可能性に含みを残した。

 ただ、中銀は、「世界的に経済成長が鈍化する中、ポーランドでも経済活動が鈍化している」とし、依然、景気後退懸念を強めている。市場の一部ではインフレ率が低下傾向にあることを受け、中銀は今後6カ月以内、早ければ10月の総選挙前にも利上げサイクルを終了、0.50ポイントの利下げに転換すると見ている。ただ、大方は今年末まで金利を据え置き、来年1-3月期に利下げに転換すると予想している。他方、ダム・グラピンスキー総裁は3月、インフレ率は9月には1ケタ台の伸びに鈍化したあと、10-12月期に利下げに転換できることを望んでいると述べている。

 また、中銀は通貨ズロチ相場について、前回会合時と同様、「ズロチ相場が金融政策の方向性と矛盾する場合、為替相場の変動を抑制するため、外為市場で(ズロチ買いの)介入を実施する」としている。

 次回の会合は6月6日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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