【為替本日の注目点】米債務上限問題、膠着感を増す

為替

サーチナ

2023/5/24 10:04

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は取り引き開始直後に138円91銭まで買われたが、その後はじり安の展開。債務上限問題が膠着感を強め、米金利も低下したことで138円29銭まで下げる。ユーロドルはやや下値を切り下げ、1.0761近辺まで売られる。株式市場は3指数が揃って下落。債務上限問題が依然として不透明であることに加え、経済指標が上振れしたことで利上げ継続との観測が重荷に。債券は小幅に反発。長期金利は3.7%を割り込む水準に低下。金は続落し、原油は続伸。

マーケット情報

4月新築住宅販売件数 → 68.3万件

5月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 48.5

5月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 55.1

5月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 54.5

5月リッチモンド連銀製造業景況指数 → -15

ドル/円 138.29 ~ 138.91

ユーロ/ドル 1.0761 ~ 1.0795

ユーロ/円 148.97 ~ 149.56

NYダウ -231.07 → 33,055.51ドル

GOLD -2.70 → 1,974.50ドル

WTI +0.86 → 72.91ドル

米10年国債 -0.023 → 3.692%

本日の注目イベント

独 5月ifo景況感指数

英 4月消費者物価指数

英 ベイリー・BOE総裁講演

米 FOMC議事録(5月2-3日分)

 バイデン大統領とマッカーシー下院議長との会談は今回も不調に終わり、合意には至りませんでした。大統領は会談後に、「債務不履行の選択肢がないことを下院議長と再確認した。前進するための話し合いを続けていく」とのコメントを残し、下院議長も、「建設的な話し合いを行った。合意するまで協議を続ける」と語るなどこれまでと同様、両氏は楽観的な言葉を発するものの、協議では着地点を見いだせない状況が続いています。会合に参加したノーマン議員によると、「交渉では双方が合意にはほど遠いとマッカーシー氏が語った」と話しています。双方の相違点は、歳出削減を巡り、その規模と内容にあるようです。大統領は「税制上の抜け穴に対処して、富裕層に応分の負担を求める必要性がある」とし、この点では議会共和党との間で「意見に相違がある」と語っています。

 市場もこの状況を受け、「万が一にもデフォルトはない」としながらも「残された時間が少なくなり、リスクを意識しないわけにはいかない」といった状況になっており、ストレスも日増しに溜まり、相場の重しになっています。イエレン財務長官が警告したように早ければ「Xデー」が6月1日にもあるとすれば、あと8日に迫っています。税収の額や歳出の額によって、「Xデー」がどこまで延びるか分かりませんが、ぎりぎりまで合意に至らない可能性もあります。合意したとしても、議会で承認を得たり、大統領の署名を得るまでに数日はかかると見られており、早期の合意が求められます。共和党側の交渉担当者であるマクヘンリー下院金融委員長は、「デフォルト回避に向けた 期限は分かっている。双方は誠意をもって取り組んでいるが、難しい問題を抱えている」と語っています。(ブルームバーグ)

 ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はCNNのインタビューで、「インフレが高水準にとどまり、われわれの認識より定着するようになった場合、政策金利をより長期にわたって高い水準に維持する必要が出て来る。そうなれば、銀行セクターへの圧力は強まる」と述べています。同総裁は先週19日には、「ここからはもう少し速度を落としてもいいだろうという考えを排除しない」と述べていましたが、次回会合で利上げを見合わせたとしても、入手するデータの強さによっては、その後の会合で一段の利上げが必要になる可能性があるとしたようです。昨日発表された米国5月のPMIは製造業では予想を下回る結果でしたが、サービス業と総合ではいずれも予想を大きく上回っていました。また新築住宅販売も事前予想を超えており、景気の底堅さを示唆しています。

 ドル円は先週18日に記録した138円75銭をわずかですが上回る水準を付けており、底堅い動きを見せています。債務上限問題が膠着感を見せる中でも、底堅さを維持していますが、万が一の際には米国の株と債券が売られるのは確実だと思われ、米金利が上昇します。金利高に引き寄せられる形でドル高と見ることもできますが、一方で「リスク回避の円買い」の可能性も考えられます。「米国売り」が意識され、株や債券だけではなく「ドル」も売られるといった見立てです。果たしてどうでしょう。もっとも、筆者は依然として「米国のデフォルトはない」ことを信じ、その見方を維持していますが。

 本日のドル円は137円50銭~139円30銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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