<新興国eye>インドネシア中銀、予想通り金利据え置き―通貨ルピア安阻止へ(2)(1)からつづく

新興国

2023/5/26 8:51

 景気の見通しについて、中銀は、「インドネシアの経済成長は好調を維持。23年1-3月期の経済成長率は前年比5.03%増と、前期の同5.01%増を上回った」とした上で、「23年の成長率は4.5-5.3%増のレンジの上限となる可能性がある」とし、前回会合時の見通しを据え置いた。しかし、ワルジョ総裁は会合後の会見で、前回の会合で指摘した成長率目標の上限達成の可能性を撤回している。

 市場では中銀が金利を据え置いたことについて、インフレが抑制されていることも背景にあると見ている。4月のインフレ率は前年比4.33%上昇と、3月の4.97%上昇や2月の5.47%上昇、1月の5.28%上昇を下回り、コア指数も同2.83%上昇(3月は同2.94%上昇)に鈍化した。

 中銀も声明文で、インフレの現状認識について、前回会合時と同様、「インフレは予想よりも低下した。インフレの持続的な低下は、一貫した金融政策と、中銀と政府とのインフレ抑制のための相乗効果による好影響を受けている」との判断を示している。その上で、インフレの見通しについても、「23年のコアインフレ率は2-4%上昇の範囲で引き続き抑制され、全体指数は7-9月期に2-4%上昇の物価目標に戻ると考えている」としている。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「景気回復の勢いを維持するため、ポリシーミックス(複数の経済政策手段の一体運営)を強化する」とした上で、「引き続きルピア安定化政策を強化、輸入インフレを抑制、国際金融市場の不確実性(欧米の銀行危機)がルピア相場に及ぼす影響を緩和する」とし、これまで通り、ルピア安阻止のため、市場介入や流通市場でのSBN(短期国債)の売買を通じたツイストオペ(短期債を売却して長期債を購入、バランスシートを拡大しないで保有債券の期間を長期化させるオペ)を継続、SBNの短期の利回りを高め、海外からのポートフォリオ投資の魅力を高めていくとしている。

 次回会合は6月21-22日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 アジア債券<1349.T>、上場EM債<1566.T>、アセアン50<2043.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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