【為替本日の注目点】米5月のNFPは33.9万人の増加

為替

サーチナ

2023/6/5 10:22

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は138円台から大きく反発。5月の雇用統計でNFPは大幅に増加したものの、賃金の伸びが鈍化。米金利の上昇に140円09銭まで買われた。ユーロドルは円ほど動かず。1.07台前半から後半で推移。株式市場はデフォルトを回避できたことや、賃金が上昇していなかったことを好感し3指数が大幅高。特にダウは前日比700ドルを超える上昇を見せ、今年最大の上げ幅を記録。債券は反落し、長期金利は3.69%台に上昇。金は大幅に売られ、原油は続伸。

マーケット情報

5月失業率 → 3.7%

5月非農業部門雇用者数 → 33.9万人

5月平均時給 (前月比) → 0.3%

5月平均時給 (前年比) → 4.3%

5月労働参加率 → 62.6%

ドル/円 138.74 ~ 140.07

ユーロ/ドル 1.0705 ~ 1.0771

ユーロ/円 149.23 ~ 149.96

NYダウ +701.19 → 33,762.76ドル

GOLD -25.90 → 1,969.60ドル

WTI +1.64 → 71.74ドル

米10年国債 +0.096 → 3.691%

本日の注目イベント

中 5月財新サービス業PMI

中 5月財新コンポジットPMI

独 4月貿易収支

独 4経常収支

独 5月サービス業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏5月サービスPMI(改定値)

欧 ユーロ圏4月卸売物価指数

米 5月ISM非製造業景況指数

米 5月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)

米 5月S&Pグローバル総合PMI(改定値)

米 4月製造業受注

米 4月耐久財受注

 米債務上限問題は、バイデン大統領が3日に法案に署名し、「財政責任法」が成立しました。これで、2025年1月まで債務上限の適用を停止、デフォルトを回避できることになりました。当面は債務上限を巡る政治的なドタバタ劇を見ることはなくなりますが、バイデン政権は今後一層の歳出削減を行う必要があります。

 前日138円台半ばまで売られたドル円は、わずか1日で元の鞘に戻ってきました。5月の雇用統計で、米労働市場は「驚くほど好調」だったことが、あらためて確認されました。非農業部門雇用者数は市場予想の「19.5万人」を大きく上回る「33.9万人」で、さらに4月分は「25.3万人」から「29.4万人」に、3月分も「16.5万人」から「21.7万人」に、それぞれ「上方修正」されています。この結果、直近3カ月の雇用数は平均で「28.3万人」と、10回合連続で都合5%もの利上げが実施されましたが、雇用の減速感は全く感じられません。先に発表された「ADP雇用者」も大きく上振れ、求人件数も1000万件に戻るなど、相変らず「人手不足」が続いていることがうかがえます。本来なら、雇用者数の大幅上振れは米景気の拡大→インフレの加速→FRBによる利上げ継続、そして株安、債券安が進み、ドル円が買われる要因になりますが、この日は株価が大きく上昇し、リスクオンから債券が売られた側面もあったようです。NYダウは前日比701ドル買われ、今年最大の上げ幅でした。雇用者数ではNFPが上振れしたものの、失業率は高まり、賃金が伸びていないなど「強弱まちまち」の結果でしたが、市場のセンチメントは「6月会合では利上げ見送り」に大きく傾いていることが背景です。先週の金曜日のコメントでも書きましたが、金曜日の動きは市場のセンチメントが一夜で変わるという良い例だったと言えます。経済指標の結果を受けたり、FOMCメンバーの発言を受ける中で、利上げ見送りから、0.25ポイントの利上げをほぼ織り込み、そして再び利上げ見送りへと市場の見方は変化してきました。こう考えると、13日の「5月の消費者物価指数」発表でも、もう一波乱あるかもしれません。

 サマーズ元財務長官はブルームバーグの番組で、FOMCが6月会合で利上げ見送りを選択した場合、7月会合では政策金利を「0.5ポイント」引き上げる可能性を残して置くべきだと述べています。タカ派のイメージが強いサマーズ氏は、「米金融当局が留意しなくてはならない主要なリスクは、景気過熱リスクであるという状況に再び陥っている」と指摘し、雇用統計の結果については、「労働市場が引き続きタイトかつホットだ」と述べていました。

 本日は、再び日経平均が大幅高を見せそうです。株価が大きく上昇すれば「リスクオン」が強まり、低金利の円が売られ易いことは何度も指摘した通りです。一方で、米債務上限問題が決着したことで、米財務省は減少していた手許現金を拡充するため、大量の債券を発行するとみられます。大量の債券発行は市場から資金を吸い上げることになり、ある意味「金融引き締め」と同様の効果が見られます。金融引き締めは、株価の下落要因となり債券高からドル円が売られるリスクもないとは言えません。大量の債券発行は市場の流動性を1兆1000億ドル(約154兆円)減少させるとの試算もあります。一応、留意しておく必要がありそうです。

 本日のドル円は139円30銭~141円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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