【為替本日の注目点】ドル円9カ月ぶりに145円台半ばに

為替

サーチナ

2023/8/15 10:06

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は続伸。東京時間に145円22銭まで買われた後上値を重くしたものの、NYでは金利上昇を手掛かりに145円57銭までドル高が進行。ユーロドルは反落。1.0874まで売られる。株式市場は3指数が揃って上昇。ハイテク株が買われ、ナスダックは143ポイント高。債券は続落。長期金利は一時4.21%まで上昇し、4.19%台で引ける。金と原油は続落。

マーケット情報

ドル/円 145.10 ~ 145.57

ユーロ/ドル 1.0874 ~ 1.0940

ユーロ/円 158.24 ~ 158.80

NYダウ +28.23 → 35,307.63ドル

GOLD -2.60 → 1,944.00ドル

WTI -0.68 → 82.51ドル

米10年国債 +0.039 → 4.191%

本日の注目イベント

豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表

豪 豪第3四半期賃金指数

日 4-6月GDP(速報値)

日 6月鉱工業生産(確定値)

中 中国7月小売売上高

中 中国7月鉱工業生産

独 独8月ZEW景況感指数

英 英ILO失業率(4-6月)

英 英6月失業率

米 7月小売売上高

米 8月NY連銀製造業景況指数

米 7月輸入物価指数

米 7月輸出物価指数

米 8月NAHB住宅市場指数

米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演

加 カナダ7月消費者物価指数

 先週末のNYでは145円ちょうどまで買われたドル円は、昨日の東京時間の朝方には145円22銭まで上昇する場面もありましたが、その後日経平均株価の大幅安もあり、上値を重くしましたが、NYでは米金利高を手掛かりに再びドル高が進む。昨年11月以来となる145円57銭まで円が売られました。

 昨日の午後、ある通信社の記者の方から電話取材を受けた際、筆者が「政府・日銀による介入には気を付けたい水準ですね」と話すと、「いや、神田財務官は今日は夏休みだそうですよ」と答えてくれました。そうだとすれば、ドル高が進んだ今日も「夏休み」で財務官は陣頭指揮を取れないことから、「介入はない?」のかもしれません。ただ実際には、常に連絡は取れる状況であることは間違いないところで、「夏休み」は関係ありません。要は、介入するとすれば、その効果が最大になる機会を狙っていると考えられます。実弾による介入はないとしても口先介入は容易に想定できる水準です。

 今朝の報道では「株安が進む中でも円安。何かの変調か」といった論調の記事が多かったようです。株式は「リスク資産」であるため、株式が買われるとリスクオンから低金利の円は売られやすく、円安に振れる可能性が高く、逆に株安は円高に振れる傾向があります。また株安の局面ではドル建ての日経平均株価が下がるため、ヘッジの意味もありドルが売られるとの説明もあります。従って昨日の東京市場の様に、円安と株安が同時に大きく進むケースはまれなことと言えます。ただ、海外投資家が日本株を買う場合、必ずしもドルを売って円を調達し、その円で日本株を買うだけではありません。バークシャー・ハザウェーのウォーレン・バフェットのように、日本で円建て債券(サムライ債)を起債し、ここで調達した円で日本株を買うケースもあります。このケースでは為替リスクがないだけではなく、バークシャーのような「優良企業」は調達コストが非常に低く、実際今年4月に発行した1600億円程の資金の金利は0.97%程度だったようです。広く報道されたようにバークシャーはこの円資金で日本の5大商社株を購入しました。その後商社株は大きく上昇し、バークシャーは相当の含み益を抱えていると言われています。さらに商社株の配当利回りは高く、少なくとも3-5%程あります。同社は基本的には短期売買は行わないため、ここでも配当から調達コストの0.97%を引いた「2-4%程度の利益」を享受できることになります。まさに「投資の神様、ウォーレン・バフェット」です。

 NY連銀が発表した調査結果によれば、1年後のインフレ期待率は7月に「3.5%」と、前月の「3.8%」から低下し、3年、5年後のインフレ期待率もいずれも「2.9%」と、前月の「3%」から低下していました。短期的なインフレ見通しの改善はあらゆる層で「幅広く」見られ、食料品や医療費、家賃といった必要不可欠な生活費は今後1年間でより小幅な上昇になると見込まれています。(ブルームバーグ)この調査結果は、先週末に発表されたミシガン大学消費者マインドのインフレ期待値と一致しており、多くの米国民が今後米国のインフレ率は緩やかに鈍化していくと考えていることになります。

 円の弱さは目立ちますが、昨日はドルの強さが際立っており、主要通貨だけではなく、新興国通貨もドルに対して大きく売られました。アルゼンチン・ペソが大きく売られ、ロシア・ルーブルも節目の「100」を割り込んでいます。また、オフショア人民元も続落し、昨年11月上旬以来の安値を記録しました。米10年物の「実質利回り」(インフレ調整後の利回り)が昨日は1.78%まで上昇。2009年以来の高水準に近づき、魅力的なドルに資金が向っているとの指摘もあります。

 ドル円は既に年初来高値を更新中です。チャートでは昨年10月に記録した151円94銭まで目立ったレジスタンスはありません。市場のモメンタムもドル買いに傾いてはいますが、毎度のことですが注意は怠らないように。

 本日のドル円は144円50銭~146円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ