【為替本日の注目点】ドル円、昨年秋の介入水準を上回る

為替

サーチナ

2023/8/17 9:57

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円はFOMC議事録の内容を受け146円台に載せ146円40銭まで上昇。昨年秋の政府・日銀による介入水準を超える円安に。ユーロドルも続落。1.0872まで売られ、約1カ月ぶりの安値に。株式市場は3指数が続落。議事要旨の内容がタカ派的だったことで、終盤に下げ幅を拡大。債券も続落。長期金利は4.25%台に上昇。30年債は今年の最高水準に。金は8日続落。原油も4日続落し79ドル台に。

マーケット情報

7月住宅着工件数 → 145.2万件

7月建設許可件数 → 144.2万件

7月鉱工業生産 → 1.0%

7月設備稼働率 → 79.3%

ドル/円 145.66 ~ 146.40

ユーロ/ドル 1.0872 ~ 1.0923

ユーロ/円 158.80 ~ 159.25

NYダウ -180.65 → 34,765.74ドル

GOLD -6.90 →  1,928.30ドル

WTI -1.61 → 79.38ドル

米10年国債 +0.039 → 4.250%

本日の注目イベント

豪 豪7月雇用統計

日 7月貿易統計

欧 ユーロ圏6月貿易収支

米 新規失業保険申請件数

米 8月フィラデルフィア連銀景況指数

米 7月景気先行指標総合指数

 ドル円は昨日のコメントでも触れたように、東京時間ではドルの上値が重い展開が続くものの、NYでは一気に大台を替える上昇を見せ、昨日は146円40銭までドルが買われました。昨年秋に政府・日銀が市場介入を実施した水準を上回るドル高が進み、介入の出方が焦点の一つになってきました。昨日の東京市場では日経平均株価が大きく下げたこともあり、午後には145円30銭近辺までドル売りが進む場面もありましたが、そこを底値にドルがじり高となり、NYではFOMC議事録の内容が公開されたことでドル高が一段と進みました。議事録では多くの参加者が「追加利上げの可能性がある」との認識を示していました。

 7月25、26日に開いた会合の議事録では、「インフレに著しい上振れリスクがあり金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」と記されていました。一方で、「経済活動は強靭で労働市場も強さを維持しているものの、引き続き経済活動に下振れリスク、失業率には上振れリスクがあるとの見解が一部の参加者から示された」としています。同会合では投票権を持つメンバー11人の「全会一致」で利上げを決定しましたが、会合への参加者全員で見ると、利上げが一様に支持されたわけではなかったようで、議事要旨では、「2人が政策金利の据え置きを望んだ、ないし、そうした提案を支持した」と記されていました。また、「政策を不用意に引き締め過ぎるリスクと、引き締めが不十分な場合のコストとの間でバランスを取ることが重要だとの見解を示した」とも記されています。

 今回公表された議事録の内容が想定された以上に「タカ派寄り」だったことで、市場は年内の追加利上げ観測を強め、株式と債券を売り、金利上昇からドルが買われ、金も原油も売られました。金は小幅ながらこれで8日続落です。先週発表されたCPIとPPIが予想を上回ったことも、今回の議事録の内容と整合しているようですが、個人的にはやや過剰反応ではなかったかと思っています。ドル円は昨年秋の「介入水準」を超えてきたことから、焦点は政府・日銀がどのタイミングで介入に踏み切るのかという点です。146~148円台でも介入がないようなら、150円以上を介入水準と意識している可能性もありそうです。

 円安がさらに進むと、今後日本のインフレが一段と高まる可能性もあり、秋口には2%の 物価目標を下回ると予想している日銀の思惑とも相容れなくなります。足下のインフレ率では米国を上回っていながらも、大規模な金融緩和策を維持している最大の理由の「日本のインフレ率はこの先2%を下回る」という根拠が、根幹から崩れる可能性もあり、日銀にとっても政府にとってもここからが「正念場」と言えます。この辺りで動くのか、あるいは150円台まで動かないのか。暑い夏はまだ続きます。

 本日のドル円は145円20銭~147円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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