【為替本日の注目点】「ECB、BOE政策金利据え置く」

為替

サーチナ

2023/12/15 10:13

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 東京時間に140円台後半まで売られたドル円はその後反発。NY時間には142円27銭まで買われたが、米金利の低下に上値も重い。ECBは政策金利据え置きを決定。ラガルド総裁が利下げの可能性を一蹴したことでユーロドルは1.10台を回復する場面も。株式市場は前日のFOMCの結果に支えられこの日も続伸。ダウは158ドル買われ、連日で最高値更新。債券も続伸し、長期金利は一時3.8%台まで低下し、3.92%台で引ける。金利低下を好感し金は大幅に続伸。原油も大幅に買われ71ドル台を回復。

新規失業保険申請件数 → 20万2000件

11月小売売上高 → 0.3%

11月輸入物価指数 → -0.4%

11月輸出物価指数 → -1.4%

マーケット情報

ドル/円 141.42 ~ 142.27

ユーロ/ドル 1.0907 ~ 1.1009

ユーロ/円 154.65 ~ 156.06

NYダウ +158.11 → 37,248.35ドル

GOLD +47.60 → 2,044.90ドル

WTI +2.11 → 71.58ドル

米10年国債 -0.096 → 3.921%

本日の注目イベント

中 中国11月小売売上高

中 中国11月鉱工業生産

独 独12月製造業PMI(速報値)

独 独12月サービス業PMI(速報値)

欧 ユーロ圏12月製造業PMI(速報値)

欧 ユーロ圏12月サービス業PMI(速報値)

欧 ユーロ圏12月総合PMI(速報値)

欧 ユーロ圏10月貿易収支

英 英12月製造業PMI(速報値)

英 英12月サービス業PMI(速報値)

米 12月NY連銀製造業景況指数

米 12月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)

米 12月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)

米 12月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)

米 11月鉱工業生産

米 11月設備稼働率

加 カナダ11月住宅着工件数

 FOMCで来年には3回の利下げが示唆されたことからドル円は再びドル売りが強まり昨日の東京時間昼ごろには、先週付けたドルの直近安値であった141円71銭を割り込みました。その水準を割り込むと、ストップロスのドル売りが執行されたのか、ドル円は一気に141円を割り込み、140円98銭前後(一部には140円95銭との報道も)までドルが売られ、直近の安値を更新しました。ただその後の戻りも先週と同じように速く、1円程戻し141円87銭辺りまで反発する荒っぽい動きとなり、NYでは142円台前半までドルが反発しています。1週間前の急速な戻りとは行きませんでしたが、今回もドルが大きく売られたものの、底値を付けた後の戻りも速く、見方を変えれば「ドルは底堅い」と見られないこともありません。米長期金利は一段と低下し、昨日は一時4%を大きく割り込み3.88%台まで低下しました。米債券市場では、今後もFRBの金融政策の修正に伴い米金利は緩やかに低下するといった見方が主流となっており、ドル円の上値を抑えることになりそうですが、見極める必要はあります。

 ECBは市場予想通り政策金利の据え置きを決めました。ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、「決して警戒を緩めてはならない。利下げについては全く議論しなかった」と述べ、消費者物価の上振れリスクは続いていると警告し、「現在あるデータを見ると、圧力は弱まっていない」と述べています。イングランド銀行(BOE)もこの日政策金利の据え置きを決め、両中銀の今後の金融政策への取り組みは前日のFOMCとは対照的な動きでした。FOMCでは2024年には少なくとも3回の利下げがあることが示されましたが、ECB、BOEはともに市場の「利下げ期待」を打ち消すような姿勢を見せています。利下げ観測が後退したことでラガルド総裁の会見後、ユーロドルは100ポイント程買われています。

 米金利の低下傾向が鮮明になったことで資金が債券市場と株式市場に再び流入しています。特にダウの上昇は大きく、10月末では3万3050ドルだったダウは、昨日は3万7248ドルで引け、連日で史上最高値を更新しています。この間の上昇率は12.7%にも達しています。株高は言うまでもなく、「リスクオン」につながることから、ドル円では円売り材料と見ることができます。一方日経平均株価の方は、底堅い動きを見せてはいるものの、上値の重い展開が続いています。本来なら米国株の上昇に引っ張られる形で3万5000円を目指してもいい状況ですが、「円高」がボトルネックになっています。「行き過ぎた円安は日本経済にとってはよくない」と言われてきましたが、円高も企業業績全体にとっては悪いということでしょうか。もっとも、円高に振れたといっても今年1月は127円台であったわけで、決して円高とは言えません。米国株が今後どこまで上昇するのかも見ておく必要がありそうです。本日のドル円は141円20銭~143円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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