<米国株情報>日本製鉄によるUSスチールの買収に一部の議員が反対表明

株式

2023/12/20 10:10

 日本製鉄<5401.T>による鉄鋼大手ユナイテッド・ステイツ・スチール(USスチール)<X>の買収に、USスチールが本社を構え、鉄鋼業が盛んなペンシルベニア州選出のジョン・フェッターマン上院議員(民主党)やオハイオ州のJ・D・バンス上院議員(共和党)らが19日、反対を表明した。

 経済情報専門サイトのマーケットウオォッチによると、フェッターマン上院議員は声明を出し、「USスチールが外国企業による買収に同意したのは言語道断」とし、鉄鋼は安全保障に関わるものでもあり、国家安全保障と国内雇用に直結すると指摘。バンス上院議員も「外国への売却を阻止するため、今後数カ月以内にできることは何でもする」とした。

 また、全米鉄鋼労働組合(USW)も今回の買収協議に参加できなかったとして、日本製鉄とUSスチールを批判している。USスチールをめぐっては、同業大手のクリーブランド・クリフス<CLF>も買収を提案しており、USスチールが拒否したため実現しなかったが、USWは賛同していた。

 市場では、クリーブランドと合併した場合、米国の鉄鋼業の寡占化が進む弊害が起こるのと比べれば、米国の鉄鋼やオフィスビル、自動車工場などの事業を所有していることから大きな影響はないとの見方が多い。日本企業が過去に米国の経済や雇用に大きな損害を与えたことはないと好意的な意見もある。

 ただ、日本製鉄とUSスチールが合併すれば世界4位の鉄鋼会社となるため、独占禁止法上の問題が起こる懸念もある。クリーブランドが買収を提案した際も当局による調査が必要になるとの指摘があったが、今回の買収をめぐっては競争当局のほか、対米外国投資委員会(CFIUS)などの承認が必要となる。CFIUSは外国による米国資産の取得を審査、十分なリスクがあると判断された場合、これを阻止できる。

 バンス議員ら複数の共和党議員がすでにイエレン財務長官に共同で書簡を送り、買収を阻止するよう要請している。また、24年に大統領選を控えていることから、激戦州のひとつであるペンシルベニア州での票を獲得するため、バイデン米大統領が取引を遅らせたり、阻止したりする可能性も指摘されている。

 USスチールの株価は18日に前週末比26%高と急騰したが、19日は前日比2.44%安の48.38ドルと反落した。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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