<新興国eye>カンボジアの農林水産業概況、コメの生産量は日本を上回る

新興国

2024/2/9 8:52

 日本の農林水産省は、主要国の農林水産業の概要を取りまとめています。今般、カンボジアの農林水産業の概要2023年度更新版がサイトに掲載されました。

 カンボジアの主要農産物は、コメ、キャッサバ、さとうきび、とうもろこし等です。耕地面積の約8割を占める稲作は、雨水を利用した一期作を中心として、灌漑施設が機能している地域では二期作が行われています。主要地域は、メコン川及びトンレサップ湖周辺となります。キャッサバは主に北西部で栽培されており、多くが燃料用バイオマス原料としてタイやベトナムに輸出されています。

 農林水産業がGDPに占めるシェア(2021年)は、日本が1.0%にまで低下しているのに対し、カンボジアは低下傾向にあるものの22.7%となっています。農用地の面積は、カンボジアは610万ヘクタールと、日本の437万ヘクタールを大きく上回っています。コメ(籾)の生産量(2021年)は、日本の1053万トンに対し、カンボジアは1141万トンと日本を上回っています。

 カンボジアからの主要な農産物輸出品は、コメ(農産物輸出の31.4%)、天然ゴム(30.2%)、バナナ(12.7%)等となっています。日本とカンボジアの農産物の貿易額は大きくないものの、日本からカンボジアへの輸出の第1位が牛肉であることが注目されます。カンボジアで日本産の和牛の消費量が多いわけではなく、ほとんどが中国向けに再輸出されていると言われます。

 カンボジアでも農業センサス等を行って農業関係の統計の整備に努力しています。日本の農林水産省がこうした資料を取りまとめているのは大変大きな意義があることと見られます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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