英中銀、8対1の賛成多数で金利据え置き―1委員が利下げ主張(1)

経済

2024/3/22 9:29

<チェック・ポイント>

●BOE、「金利をいつまで現在の水準に維持すべきか検討続ける」

●ベイリー総裁、「利下げ段階でないが、事態は正しい方向に進んでいる」

●市場、利上げ支持の委員が消え6月利下げ確率を50%超織り込む

 イングランド銀行(英中銀、BOE)は21日、金融政策委員会(MPC)の結果を発表し、政策金利を5.25%に据え置くことを9委員中、8対1の賛成多数で決めたことを明らかにした。据え置きは市場の予想通りだった。

 金利据え置きは5会合連続。BOEの利上げサイクルは21年12月から今年8月までの14会合連続で止まったが、現行の5.25%の金利水準は依然、08年2月以来、約16年ぶりの高水準となっている。

 市場では今回の会合で9人の政策委員のうち、タカ派とハト派の割合が前回2月会合時からどう変化するかに注目していた。

 今回の会合では、9人の政策委員のうち、タカ派(インフレ重視の強硬派)のアンドリュー・ベイリー総裁ら8委員(前回は6人)が据え置きを支持した一方で、ハト派のスワティ・ディングラ委員が前回に続き0.25ポイントの利下げを主張、BOEのハト派姿勢が明確になった。注目された、前回会合でインフレ高止まりの長期化懸念から利上げを主張した超タカ派のジョナサン・ハスケルとキャサリン・マンの2委員が据え置きに回ったことにより、利上げ支持の委員が消えた。

 MPCが金融政策決定で意見が割れたのは22年9月会合以降、これで13会合連続となり、金融政策を巡り、分裂状態が続いているが、今回の会合では利下げ開始決定に至らなかったものの、利下げ転換含みの据え置き支持が圧倒的多数を占めたことを受け、市場ではBOEは利下げに対し寛容的になってきており、6月利下げ開始に舵を切ったと見ている。短期金融市場では会合後、6月利下げ開始の確率を50%超織り込んだ。

 英株市場では6月利下げ観測が強まったため、FTSE100種総合株価指数が一時、1.5%上昇。外為市場でもポンド相場が対ドル・ユーロで、一時0.3-0.4%下落した。

 これまで市場では利下げ開始までにはBOEは再び、インフレが上昇すると懸念、金融政策を十分な期間にわたって制限的に保つ必要性を指摘すると予想。6月か8月までに利下げリサイクルが始まり、年末までにあと1回(1回0.25ポイント換算)の利下げを予想していた。しかし、会合後、金融先物市場は年末までにあと2回の利下げを織り込んだ。ただ、市場の一部ではサービスインフレが依然高止まりしているため、この低下のタイミングを考慮すると、8月開始の可能性が高いと見ている。その場合でも8月以降、各会合ごとに利下げが実施され、24年末には1ポイント(0.25ポイント換算で4回)の利下げを予想している。

提供:ウエルスアドバイザー社

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