<新興国eye>トルコ4月CPI、前年比69.8%上昇に加速―前月比も3.18%上昇に加速

新興国

2024/5/9 8:45

 トルコ統計局が先週末(3日)発表した4月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比69.8%上昇と、前月(3月)の同68.5%上昇を上回り、6カ月連続で伸びが加速、22年11月(84.39%上昇)以来、約1年5カ月ぶりの高い伸びとなった。ただ、市場予想(70.33%上昇)をやや下回った。

 同国のインフレ率はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、エネルギー価格の高騰と、中銀の利下げに伴う通貨トルコリラの急落が加わり、21年6月(前年比17.53%上昇)から22年10月(同85.51%上昇)まで17カ月連続で急加速した。翌11月(同84.39%上昇)から23年6月まで減速したが、最近は再加速傾向にある。23年7ー9月は加速、10月は減速したものの、11月以降、6カ月連続で加速している。

 前月比(全体指数)は3.18%上昇と、前月(3月)の3.16%上昇を上回り、3カ月ぶりに伸びが加速、2月(4.53%上昇)以来、2カ月ぶりの高い伸びとなった。ただ、23年10月以降はホテル・カフェの新年価格改定や最低賃金の引き上げに伴う1月の6.70%上昇や2月の4.53%上昇を除けば、3%台前半で推移しており、23年7月の9.49%上昇をピークに低下傾向にある。

 メフメト・シムシェク財務相は4月インフレ統計の結果について、「前月比の伸びは予想通りだった。年間インフレ率は5月にピークに達したあと、我々の予測通り急激に低下し始めるだろう。従って、インフレとの戦いはやがて終わり、ディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)に入る」と楽観的に見ている。市場では過去の利上げサイクル(23年6月から24年3月まで計36.5ポイント利上げ)のインフレ抑制効果により、インフレ率は24年末までに43.5%上昇に低下すると予想しており、中銀に対する金融引き締め圧力は続くと見ている。

 セクター別(前月比)のインフレ率は、酒・たばこが9.56%上昇(前月は0.02%低下)と、最も高い伸びとなった。次いで、ホテル・カフェ・レストランが4.69%上昇(同3.95%上昇)、アパレル・靴は4.58%上昇(同2.64%上昇)、家具・生活用品は4.11%上昇(同3.23%上昇)、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは3.52%上昇(同3.24%上昇)と、いずれも全体の伸び(3.18%上昇)を上回った。

 このほか、通信は3.18%上昇(同5.65%上昇)、教育は2.97%上昇(同13.08%上昇)、運輸は2.81%上昇(同1.73%上昇)、食品・生鮮飲料水は2.78%上昇(同3.4%上昇)、レクリエーション・文化は2.62%上昇(同3.74%上昇)、天然ガス料金を含む住宅(光熱費や修理費)は1.38%上昇(同3.42%上昇)。対照的に、最も低い伸びとなったのはヘルス(薬局・美容)の1.03%上昇(同1.42%上昇)だった。

 他方、セクター別の前年比(全体指数)は、教育が103.86%上昇(前月は104.07%上昇)と、最も高い伸びとなった。次いで、ホテル・カフェ・レストランが95.82%上昇(同94.97%上昇)、運輸は80.39%上昇(同79.92%上昇)、酒・たばこは78.53%上昇(同62.98%上昇)、ヘルスは77.67%上昇(同80.25%上昇)と、いずれも全体の伸び(69.8%上昇)を上回った。

 このほか、食品・生鮮飲料水は68.50%上昇(同70.41%上昇)、家具・生活用品が67.88%上昇(同63.72%上昇)、レクリエーション・文化は66.99%上昇(同66.85%上昇)、その他商品・サービスは66.12%上昇(同62.74%上昇)、住宅は55.55%上昇(同51.17%上昇)、通信は55.40%上昇(同59.54%上昇)。対照的に、アパレル・靴が51.20%上昇(同50.10%上昇)と、最も低い伸びとなった。

 中銀はインフレ率が5月に前年比73-75%上昇でピークに達すると予想している。2月8日に発表した最新の四半期インフレ報告書では、24年末時点のインフレ見通し(中心値)を36%上昇、25年末時点の見通しを14%と予想している。ちなみに23年は64.8%上昇だった。

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