<新興国eye>前週のブラジル株、インフレ加速や金利高止まり長期化懸念を受け続落=BRICs市況

新興国

2024/6/3 9:06

 前週(5月27-31日)のブラジル株式市場は31日のボベスパ指数が前日比0.5%安の12万2098.09、週間ベースでは24日終値比1.78%安と、続落した。

 週明け27日は指数が上昇した。翌28日は反落、29日も続落した。30日は「聖体祭」の祝日のため、休場。

 週前半は、米株市場が祝日で休場となったことからブラジル市場では方向感のない展開となる中、かろうじてプラス圏で引けた。中銀の経済週報で24年インフレ見通しが前週予想の3.80%上昇から3.86%上昇に引き上げられたことを受け、制限的な金融政策が長期化するとの懸念から上値が重くなった。

 その後は、5月中旬時点IPCA(拡大消費者物価指数)が前月比0.55%上昇と、4月の同0.21%上昇から伸びが加速したことが嫌気され、売りが優勢となった。また、国営石油大手ペトロブラスのマグダ・シャンブリアール新総裁が就任後初の記者会見で配当実施の意向を示したが、市場では新鮮味がなく、投資が増加、配当は減少、燃料価格政策も変わらないとの見方を強め、向こう12カ月間の目標株価も引き下げられたことも嫌気された。

 週後半は、海外市場、特に、米株市場がベージュブック(地区連銀経済報告)発表を受け、インフレ懸念を強めて下落したことを受け、ブラジル市場でも売りが一段と強まった。また、5月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGP-MIインフレ指数が前月比0.89%上昇に加速したことや、4月財政収支で、政府の総債務残高が23年全体の76%に達したことなども売り材料となった。その後は祝日のため、休場。

 週末31日は3営業日続落。休み明け後、取引が再開され、FRB(米連邦準備制度理事会)の早期利下げ観測が後退する中、ブラジル国内の雇用と所得に関する経済データが強い内容となったことから、ブラジル中銀による追加利下げの可能性がなくなり、金利高止まりが長期化するとの懸念で売りが優勢となった。

 今週(3-7日)の株式市場は、中東紛争やウクライナ情勢、西側の対ロ制裁などの地政学的リスク、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策も注目される。主な経済指標の発表予定は3日の5月S&Pグルーバル・ブラジル製造業PMI(購買担当者景気指数)や4日の1-3月期GDP伸び率、5月IPC-Fipeインフレ指数(サンパウロ大学経済研究所の消費者物価指数)、6日の5月貿易収支、5月自動車生産・販売台数、7日の5月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGP-DIインフレ指数(全国卸売物価指数)など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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