<新興国eye>トルコ1-3月期GDP、前年比5.7%増―前期比2.4%増、いずれも伸び加速

新興国

2024/6/7 8:44

 トルコ統計局がこのほど発表した1-3月期GDP(国内総生産)伸び率(季節調整後、09年=100として)は前年比5.7%増と、前期(23年10-12月期)の4.0%増(改定前も4%増)を大幅に上回り、世界で最も高い成長率となった。23年7-9月期(6.1%増)以来の高い伸びで、市場予想(5.8%増)とほぼ一致した。

 前期比は2.4%増と、前期の1.0%増(改定前も1.0%増)から伸びが2期連続で加速、23年4-6月期(3.6%増)以来の高い伸びとなった。

 政府投資と輸入が低迷したが、個人消費と輸出、総固定資本形成(企業投資)が堅調となり、全体を押し上げた。地元紙デイリー・サバによると、メフメト・シムシェク財務相は、「今年はよりバランスのとれた持続可能な成長に向かっている」と指摘、成長持続に自信を見せている。

 ただ、市場では中銀が23年6月以降、インフレ抑制のため、これまでの金融緩和から急速な金融引き締め(41.5ポイント利上げ)に転換、現在の高水準の政策金利(50.0%)が25年まで続く見通しのため、今後、景気の鈍化が予想されるとし、今回の1-3月期の成長率がピークになると見ている。このため、24年の成長率は3.15-3.20%増(政府予想は4%増)と、予想。23年の4.50%増や22年の5.50%増を大きく下回る見通し。

 主な内訳はGDPの約60%を占める家計最終消費支出(個人消費)が前年比7.3%増と、前期の同9.3%増から伸びが4期連続で減速したが、15期連続のプラスとなり、全体の伸びを押し上げた。前期比は1.1%増と、前期の同3.6%増に続き、2期連続で増加した。政府による地方選前の最低賃金の大幅引上げが背景。

 GDP押し上げ要因の輸出は前年比4.0%増と、前期の0.2%増から急加速、3期連続の増加となった。輸出は今年全体でプラス成長に寄与すると見られている。一方、GDP押し下げ要因の輸入は同3.1%減と、10期ぶりに減少、前期の同2.7%増から伸びが大幅に鈍化した。輸入の伸びが輸出を下回ったため、外需全体としてGDPの押し上げに寄与している。

 総固定資本形成(企業投資)は前年比10.3%増と、6期連続の増加となり、前期の同10.7%増から伸びがやや減速したが、依然、高い伸びで全体を押し上げた。政府最終消費支出は同3.9%増と、財政支出の拡大を反映、前期の同1.7%増を大幅に上回った。

 地元紙デイリー・サバによると、ジェブデト・ユルマズ副大統領は、「総固定資本形成の増加と個人消費支出の伸び鈍化は、経済成長がより健全な構成となっており、ディスインフレ・プロセス(インフレの低下基調)に沿って進んでいることを示している」と指摘している。

 他方、生産面で見たGDP伸び率(前年比)の主な内訳は、建設業が11.1%増(前期は10.8%増)と、最も高い伸びとなり、GDP伸び率(5.7%増)を上回った。次いで、情報・通信業は5.5%増(同3%減)、行政支援などの専門職サービス業は5.0%増(同1.5%減)。

 このほか、鉱工業は4.9%増(前期は1.9%増)、このうち、製造業は同4.7%増(同1.8%増)。農林水産業は4.6%増(同0.5%増)、サービス業(卸売業、小売業、輸送、保管、宿泊施設、食品サービス活動)は4.3%増(同3.0%増)と、いずれも5%未満となった。

 公共行政・教育・医療・社会福祉は3.3%増(前期は1.9%増)、その他サービス業は2.8%増(同2.2%増)、不動産業は2.5%増(同2.8%増)。対照的に、金融・保険業は2.0%増(同7.4%増)と、最も低い伸びとなった。

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